
子どもが赤いクレヨンや絵の具で血のような絵を描いたり、怪我をした人の絵を描いたりすると、親としては「大丈夫かな?」「何かストレスがあるのでは?」と心配になることもありますよね。
実際、子どもが血のような赤い絵を描くことにはさまざまな理由があります。本記事では、年齢別の心理や親が気をつけるポイント、適切な関わり方について詳しく解説します。
1. 子どもの絵に隠された心理学的意味
1-1. 子どもの絵が示す発達段階
発達段階 | 年齢 | 特徴 |
---|---|---|
らくがき期 | 2~4歳 | 無秩序な線や形が主。手や目の協調が発達する時期。 |
前図式期 | 4~7歳 | 丸や四角を組み合わせた人や物の絵が登場。 |
図式期 | 7~9歳 | 物の特徴を強調し、ストーリー性のある絵を描く。 |
写実期 | 9~12歳 | 遠近法や陰影を意識し、現実に近い表現が可能に。 |
この発達段階を知ることで、子どもの内面や成長を読み取る手がかりになります。
1-2. 絵が表す感情と心理
研究によると、子どもの絵の色や構成には感情が反映されることがわかっています。例えば、
色 | 感情の傾向 |
---|---|
赤・黄色 | 興奮や喜びを表す。 |
青・緑 | 落ち着きや安心感の象徴。 |
黒・灰色 | 不安やストレスを抱えている可能性がある。 |
また、人物の描き方にも心理状態が表れます。例えば、家族の絵で特定の人物を大きく描く場合、その人物との強い結びつきを示すと考えられます(Kellogg, 1970)。

2.子どもが血の絵を描くのはなぜ?考えられる心理
子どもが血のような絵を描く背景には、いくつかの心理的な要因が考えられます。
1. 赤が好きで無意識に使っている
赤は子どもにとって目を引く色の一つ。特に幼児期は、視覚的に刺激が強い色を好む傾向があります。血を描こうと思っているのではなく、「なんとなく赤を選んで塗っただけ」ということも多いです。
2. 想像力や好奇心の表れ
子どもは日々さまざまなことを学び、興味を持ちます。怪我や血に関する絵を描くのは、単純に「面白い」と感じたり、テレビや絵本で見たシーンを再現しているだけのこともあります。
3. 怖いものや戦いごっこに夢中になっている
ヒーローものや戦いごっこが好きな子どもは、戦闘シーンや怪我をしたキャラクターの絵を描くことがあります。これは成長過程の一環であり、特に珍しいことではありません。
4. 怪我の経験やトラウマを表現している
自分が転んで怪我をした経験や、家族や友達が怪我をしたことが印象に残っていると、その出来事を絵で表現することがあります。子どもにとっては、それを描くことで気持ちを整理している可能性もあります。
5. ストレスや不安のサインの可能性も
稀に、強いストレスや不安を抱えている場合、暗いテーマの絵を頻繁に描くことがあります。ただし、一度描いたくらいでは問題はありません。継続的に描き続けたり、他の行動にも変化が見られる場合は注意が必要です。
3.年齢別|血のような赤い絵を描く理由と変化のポイント
2~4歳:色の選択にこだわりがない時期
この時期の子どもは、好きな色を自由に使うことが多く、「血を描いている」という意識はほぼありません。単に「赤が好き」「勢いよく塗るのが楽しい」という理由で使っている可能性が高いです。
5~7歳:ストーリー性が出てくる時期
この頃になると、絵に物語性が出てきます。戦いのシーンを描いたり、怪我をしたキャラクターを描いたりすることもあります。ここで重要なのは「本人が楽しんで描いているかどうか」です。
8歳以上:感情を反映しやすい時期
学校や友達関係の影響を受けやすくなり、絵に気持ちが表れることが増えてきます。もし暗いテーマの絵を頻繁に描き続ける場合は、子どもの話をじっくり聞く時間を作ることが大切です。
4.子どものお絵描きに表れる心理と感情
子どもたちが描く絵には、心の中の状態や感情が表れます。特に、描かれるモチーフや色使い、線の太さなどは、心理状態の手がかりになります。以下では、よく見られるモチーフや特徴から、子どもの気持ちを読み取るポイントを解説します。
1. 包丁
Q. 子どもが包丁を描くのは大丈夫?
A. 包丁の絵は、不安や恐怖、攻撃的な感情を表すことがあります。ただし、料理が好きで包丁をよく見ているだけの可能性もあります。まずは「この絵、どういう気持ちで描いたの?」と優しく聞いてみましょう。もし頻繁に描くようであれば、学校や家庭の様子を振り返り、不安の原因を探ることも大切です。

包丁を描く頻度:たまに描くのか、繰り返し描くのかで意味が変わる。
包丁の使われ方:料理している絵か、誰かを刺しているのか?後者なら心のストレスが強い可能性がある。
子どもの体験との関連:「最近料理に興味あるの?」など、日常の出来事との関連性を探る。
2. 花
Q. 子どもが花を描くのはどんな気持ちの表れ?
A. 花はポジティブな感情の象徴ですが、枯れた花や黒っぽい色の花を描く場合、寂しさや孤独感を抱いている可能性もあります。「どんなお花なの?」と聞きながら、子どもの気持ちを探ってみましょう。

どんな花なのか?:鮮やかで元気な花ならポジティブ、枯れた花・散った花なら寂しさを感じている可能性。
花の本数や配置:「たくさんの花が描かれているか?」「1輪だけでポツンとあるか?」→孤独感の表れかもしれない。
特定の花を描いているか?:バラ(情熱や憧れ)、ひまわり(前向き)、桜(儚さ)など、種類で心情が見えてくる。お母さんが好きな花を描いていることも。
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3. 家
Q. 家の絵から家庭環境が分かる?
A. 明るく大きな家は安心感を、小さく歪んだ家は不安を表していることがあります。窓やドアがない家は閉鎖的な気持ちを示すことも。どんな家を描いたのかを見ながら、「この家に誰がいるの?」と会話をしてみると良いでしょう。

家の大きさと形:大きくしっかりした家=安心感、小さく歪んだ家=不安定な気持ち。
窓やドアがあるか?:窓がない=閉じこもりたい気持ち、ドアがない=外の世界に対する不安。
誰が住んでいるか?:「この家には誰がいるの?」と聞いてみると、家族関係のヒントになる。
4. 血
Q. 子どもが血を描くのは危険?
A. 血の絵は、恐怖や痛み、強いストレスを表していることがあります。一度「この赤い部分は何?」と聞き、深刻そうなら話をじっくり聞いてあげることが大切です。日常的に描く場合、専門家に相談するのも選択肢のひとつです。
血がどこに描かれているか?:傷口、地面、手に血がついている→それぞれ異なる意味を持つ。
血の色合い:鮮やかな赤か、黒っぽい赤か?暗い赤ならストレスが強いかも。
周囲の絵との関係:戦いのシーンか?怪我をしている絵か?物語性を考えると心情が分かる。
5. 虹
Q. 虹を描くのは良いこと?
A. 虹は希望や夢を象徴し、ポジティブな気持ちを表すことが多いです。カラフルな虹を描くなら前向きな気持ちが強いと考えられます。逆に、モノクロや不安定な形の場合は、気持ちが揺れている可能性もあるので話を聞いてみましょう。
色が全て揃っているか?:カラフルな虹は希望、色が抜けていると不安の表れ。
虹の位置:空に大きく描かれているか?小さく端にあるか?中心なら前向き、端なら遠い夢の象徴かも。
背景との関係:「雨の後の虹」「夜空に虹」→希望への過程や現在の心情を表すことがある。
6. 動物
Q. 猛獣や怖い動物を描くのは大丈夫?
A. 猛獣や攻撃的な動物を描く場合、ストレスや恐怖心を抱えている可能性があります。「この動物、強そうだね!」と肯定的に声をかけながら、理由を聞き出してみるのも良いでしょう。

どんな動物を描くか?:
- 犬・猫→愛情・安心感
- ライオン・虎→強さ・怒り・支配欲
- 蛇・クモ→恐怖・不安
- 馬・鳥→自由への憧れ
動物の表情:笑っているか?怒っているか?傷ついているか?→子どもの感情とリンクしている可能性。
動物の大きさと他の要素との関係:小さい→自信がない、大きい→存在感を示したい気持ちかも。
7. 木や森
Q. 子どもが枯れた木や暗い森を描くのは問題?
A. 元気な木は安心感を、枯れた木や暗い森は不安や孤独感を表すことがあります。どんな森なのかを聞きながら、安心できる環境を作ることが大切です。
木の種類:大きな樹木(オークなど)→安心感、安定、細くて枯れかけの木→不安、孤独、桜の木→儚さ、変化への不安
森の雰囲気:暗い森=恐怖や孤独、明るい森=安心感。
木の状態:葉が茂っているか?枯れているか?→心の元気度が分かる。
8. 家族や友達
Q. 家族や友達を描かなくなったら心配?
A. 以前は家族の絵を描いていたのに、急に描かなくなった場合、家庭内の変化や友人関係の悩みが影響しているかもしれません。「最近どんなことが楽しい?」とさりげなく聞いてみましょう。

人物の表情:笑顔か、悲しい顔か?表情が大きなヒントになる。
人の位置関係:「家族と距離を置いている」「特定の人がいない」→関係性に変化があるかも。
人物の数:増えている・減っている?→心理的な影響が出ている可能性。
9. 空や天気
Q. 空の絵から子どもの気持ちが分かる?
A. 晴れた空は明るい気持ち、雨や雷は不安や怒りを示していることが多いです。「この空はどんな気持ちで描いたの?」と聞いてみると、心の中のヒントが見つかるかもしれません。
晴れ・曇り・雨・雷:天候は心情の象徴。「雷が多い」→怒りや恐怖、「雨ばかり」→寂しさ、不安。
太陽の位置:「沈んでいる太陽」→希望を失いつつある?「昇っている太陽」→前向きな変化の兆し。
雲の形:暗い雲が多い→悩みがある?薄い雲→ぼんやりとした不安?
10. 抽象的な線や模様
Q. ぐるぐるとした線や意味のない模様ばかり描くのは問題?
A. 強い線や乱雑な模様は、感情が不安定なときに表れることがあります。ただし、単に楽しく描いている場合もあるので、無理に深読みせず、「この模様、面白いね!」と会話のきっかけを作るのが大切です。

ぐるぐるとした線:「ストレスが溜まっている時」に描くことが多い。
線の勢い:「力強く描く」→怒り、「弱い線ばかり」→自信のなさ、疲れ。
模様の形:「繰り返し同じ模様」→こだわりや不安、「バラバラな模様」→混乱している可能性。
項目 | 質問内容 | 絵の意味や心理状態 |
---|---|---|
包丁 | 子どもが包丁を描くのは大丈夫? | 不安や恐怖、攻撃的な感情を表す場合がある。料理が好きなだけの可能性も。詳細な理由を尋ねることが大切。 |
花 | 子どもが花を描くのはどんな気持ちの表れ? | ポジティブな感情を表すが、枯れた花や黒っぽい花は寂しさや孤独感を示すことがある。日常の出来事と関連性を探る。 |
家 | 家の絵から家庭環境が分かる? | 大きくて明るい家=安心感、歪んだ小さい家=不安。窓やドアの有無で閉鎖的または不安の表れ。家族関係を確認する。 |
血 | 子どもが血を描くのは危険? | 恐怖や痛み、強いストレスを表す場合がある。描かれている場所や色合いで心情を読み取ることができる。 |
虹 | 虹を描くのは良いこと? | 希望や夢を象徴するポジティブな気持ちを表すが、モノクロや不安定な形なら揺れ動く心情を表す場合がある。 |
動物 | 猛獣や怖い動物を描くのは大丈夫? | ストレスや恐怖心を抱えている可能性。動物の種類や表情、サイズなどで感情を読み解く。 |
木や森 | 子どもが枯れた木や暗い森を描くのは問題? | 元気な木=安心感、枯れた木や暗い森=不安や孤独感。木の状態や森の雰囲気から心の状態を理解する。 |
自分 | 自画像を描くのはどういう意味? | 自信や自己表現を示すことが多い。自画像の表情や姿勢で自己評価や感情の変化が見えてくる。 |
体 | 体の絵を描くのはどんな心情の表れ? | 体の部位や表現方法で心の状態がわかる。例えば、頭や手の描き方で、自己評価や欲求が見えることがある。 |
人物 | 人物の特徴から心情が分かる? | 人物の姿勢、顔の表情、周囲との関係性によって、対人関係の状態や感情の動きが反映されることが多い。 |
5.絵から心を読むポイント
「包丁の絵を描いた5歳児のケース」
ある保育士の話では、5歳の男の子が何度も包丁の絵を描いていたそうです。気になって話を聞いてみると、「テレビで見たお料理番組の包丁がかっこよかったから」とのことでした。一方で、別の6歳の子は、「お父さんが包丁を投げる夢を見た」と不安を感じていたそうです。
→ 同じモチーフでも背景は異なるため、親が冷静に話を聞くことが大切です。
「血の絵を描く子どもの気持ち」
ある7歳の女の子が、赤いクレヨンをたくさん使って血のような絵を描いていました。母親が心配して話を聞くと、「転んでひざを擦りむいたのが怖かった」と話したそうです。このように、実際の経験を絵で表現することもあります。
エピソードのように、子どもの描く絵は、その時々の気持ちや環境を反映していますが、必ずしも一つの絵から深刻な問題を読み取る必要はありません。大切なのは、子どもが安心して自由に表現できる環境を整え、日頃から対話を重ねることです。絵を通じて、子どもが何を伝えようとしているのかを優しく受け止めましょう。
Q. 子どもが何度も同じ怖い絵を描くのは大丈夫?
A. 何度も同じ怖い絵を描く場合、子どもが何かに強い関心を持っているか、不安やストレスを抱えている可能性があります。一度、「この絵について教えてくれる?」と優しく聞いてみましょう。
ただし、毎日描いている、または暴力的な絵が増えている場合は、学校での出来事や家庭環境を見直してみるのも大切です。
6.放っておいて大丈夫?親が気をつけるべきサイン
子どもが血のような絵を描いても、多くの場合は成長過程の一部なので心配はいりません。ただし、以下のような場合は、注意が必要です。
- 明らかに不安そうな様子で描いている
- 攻撃的な絵(自分や他人が傷つく場面)を頻繁に描く
- 以前は描かなかったのに、急に繰り返し描くようになった
- 学校や家庭での様子が変わった(元気がない、口数が減るなど)
これらのサインが見られたら、まずは子どもの気持ちを聞いてみましょう。「何を描いたの?」と優しく尋ねることで、意外とあっさり「ヒーローごっこしてたの!」と返ってくることもあります。
7.子どもが描いたときに親がすべき対応とは?
子どもが血のような絵を描いたとき、親の対応次第で子どもの気持ちに大きく影響を与えることがあります。

1. 否定せずに受け止める
「そんな絵、描いちゃダメ!」と頭ごなしに否定すると、子どもは「自分の気持ちを表現してはいけない」と感じてしまいます。まずは「どんな絵を描いたの?」と興味を持って話を聞くことが大切です。
2. 子どもの気持ちを確認する
「これは何の絵?」「どんな気持ちで描いたの?」と優しく尋ねることで、子ども自身も自分の気持ちを整理しやすくなります。
3. 気になる場合は環境の変化をチェック
ストレスや不安が影響している可能性もあるため、家庭や学校での出来事を振り返ってみましょう。必要なら先生や保育士さんに様子を聞いてみるのも良い方法です。
4. どうしても気になる場合は専門家に相談
あまりにも暗い絵ばかり描く場合や、子どもの様子が明らかに変わった場合は、心理カウンセラーや発達相談の専門家に相談するのも一つの手です。
まとめ
子どもが血のような絵を描くのにはさまざまな理由がありますが、多くの場合、成長過程の一部として自然なことです。ただし、継続的に描き続ける場合や、子どもの様子に変化が見られる場合は、親として慎重に様子を見守り、必要に応じて専門家に相談することも検討しましょう。
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5 thoughts on “子どもの血の絵、何を意味してる?心理と親の対応をやさしく解説”