
共感育児とは?基本の考え方と効果
「共感育児」という言葉を聞いたことはありますか? この育児法は、子どもの気持ちに寄り添い、感情を否定せずに受け止めることで、親子の信頼関係を深めるアプローチです。この育児法は、子どもの感情や気持ちに寄り添うことを大切にし、親子の絆を深めるとされています。まずは共感育児の効果から見ていきましょう。
共感育児の効果 子どもの自己肯定感が高まる
親子の信頼関係が深まる
感情をコントロールしやすくなる
思いやりのある子に育ちやすい
自主性が育つ
親自身も穏やかに子育てできる
共感育児って最近できた育児法なの?
「共感育児」という言葉自体は比較的新しいですが、考え方としては昔からあるものなんです。
共感育児は、子どもの気持ちに寄り添い、共感しながら関わる育児方法のことを指します。これに近い概念としては、以下のようなものがあります。
- アタッチメント・ペアレンティング(愛着形成を重視する育児)
- マインドフル・ペアレンティング(親が自分の感情を理解しながら育児する)
- ポジティブ・ペアレンティング(罰よりも対話を大切にする)
共感育児は、科学的な研究や心理学の発展により、近年さらに注目されるようになってきました。特に、日本では「子どもの気持ちを受け止めながら声かけをする」ことが重要視されるようになり、「共感育児」という言葉が広まってきました。実際にイヤイヤ期の子どもとの接し方や、兄弟げんかの対応などで「共感的な声かけ」が有効であることが研究でも示されています。
- 定義:
子どもの感情や行動を否定せず、子どもの視点に立ってその気持ちを代弁する育児法です。 - 歴史的背景:
- アタッチメント理論(ボウルビィ、エインズワース)
1960年代~1970年代に確立され、子どもの情緒発達と安全な親子関係の形成を重視する育児法として位置付けられています。 - 感情コーチング:
ジョン・ゴットマン氏(1997年)の研究や、ダニエル・シーゲル博士の脳科学に基づくアプローチが、共感育児の理論的裏付けとなっています。
- アタッチメント理論(ボウルビィ、エインズワース)
共感育児の進化
時代/段階 | 特徴 | 理論・研究 |
---|---|---|
初期の育児法 | 子どもの行動を規律や罰で矯正するアプローチが主流 | — |
1960~1970年代 | 子どもの情緒発達と安全な親子関係を重視 | アタッチメント理論(ボウルビィ、エインズワース) |
1990年代以降 | 子どもの内面や感情に寄り添い、主体性を尊重する育児へシフト | 感情コーチング(ジョン・ゴットマン)、脳科学に基づくアプローチ(ダニエル・シーゲル) |
最新の研究 | 共感育児の実践により、子どもの自己肯定感、問題解決能力、社会性が向上 | Journal of Family Psychology (2022年 など) |
「家族の絵を描くときの心理|子どもの気持ちを読み解くヒント」
さて、そんな共感育児。特にイヤイヤ期の子どもとの接し方や、兄弟げんかの対応などで「共感的な声かけ」が有効とされていますが、どうして子どもの気持ちを代弁することが大切なのでしょうか?
1. 子どもの気持ちを代弁することが大切な理由
子どもはまだ自分の感情をうまく言葉で表現するのが難しいため、モヤモヤした気持ちを抱えやすくなります。その結果、泣いたり怒ったりといった行動で気持ちを表そうとするのです。
そんなとき、大人が「〇〇したかったんだね」「嫌だったんだね」と気持ちを代弁してあげることで、子どもは「わかってもらえた!」と感じ、心が落ち着きやすくなります。また、自分の気持ちを言葉にしてもらうことで、少しずつ「気持ちは言葉で伝えられる」という学びにもつながります。
次に、具体的な声かけのポイントを見ていきましょう。
基本のポイント 子どもの視点に立つ
感情に名前を付ける(「悲しかったんだね」「悔しかったね」)
叱るのではなく、気持ちを受け止める
共感育児の長所
1. 子どもの自己肯定感が高まる
共感的に接することで、子どもは「自分の気持ちは大切にされる」と感じ、自分に自信を持ちやすくなります。例えば、「悲しいんだね」「怒ってるんだね」と感情を言葉にしてあげるだけでも、子どもは「わかってもらえた」と安心し、自分の感情を素直に表現できるようになります。
2. 親子の信頼関係が深まる
子どもの気持ちを尊重しながら関わることで、親子の絆が強くなります。親が常に「気持ちをわかってくれる存在」だと感じることで、子どもは安心し、困ったときに親を頼るようになります。
3. 感情をコントロールしやすくなる
共感育児を受けた子どもは、自分の感情を理解しやすくなり、適切な方法で表現する力が身につきます。例えば、「イライラする時は深呼吸しよう」「怒ったら言葉で伝えてみよう」と親が共感しながら伝えることで、子ども自身も感情の扱い方を学ぶことができます。
4. 思いやりのある子に育ちやすい
親から共感を受けることで、子ども自身も他者の気持ちを考えられるようになります。例えば、友達が悲しんでいるときに「どうしたの?」と気にかけたり、けんかをしたときに「相手も嫌だったんだね」と考えられるようになります。
5. 子どもが自主的に行動しやすくなる
「これをしなさい!」と命令されるより、「こうするといいと思うよ」「どうしたい?」と意見を尊重されることで、子どもは自分で考えて行動しやすくなります。共感的な関わりの中で、子どもは「自分の気持ちを大事にしていい」と学び、自主性が育ちます。
6. 親自身も穏やかに子育てできる
共感育児は、親が一方的にコントロールするのではなく、子どもの気持ちを受け止めることが基本です。そのため、親自身も「子どもを無理に従わせなければ」といったプレッシャーが減り、感情的に怒ることが少なくなります。
2. 子どもの気持ちを代弁する10のシチュエーション
代弁するときには、子どもの感情に共感することが大切です。大人の視点で判断するのではなく、子どもの目線に立ち、その気持ちを汲み取り言葉にします。また、感情を否定せず、「○○だからダメ」といった言葉を避けることがポイントです。子どもが感じていることを正しく言葉にすることで、安心して自分の感情を表現することができるようになります。
シチュエーション | 子どもの気持ち | 代弁の例 |
---|---|---|
お友達におもちゃを取られた時 | 悲しみ・怒り | 「○○ちゃんにおもちゃを取られて悲しかったんだね。」 |
着替えを嫌がる時 | 遊び続けたい | 「まだ遊びたい気持ちがあるんだね。わかるよ。」 |
お昼寝を拒否している時 | 眠くない・遊びたい | 「まだ眠くないんだね。でも体を休めるのも大事だよ。」 |
ごはんを食べたくない時 | 食べたくない | 「今は食べたくない気分なんだね。」 |
お片付けを嫌がる時 | 遊びを続けたい | 「まだおもちゃで遊びたい気持ちなんだね。」 |
突然泣き出した時 | 不安・悲しい | 「悲しくなっちゃったんだね。どうしたの?」 |
おもちゃを投げる時 | イライラしている | 「嫌な気持ちになったんだね。でもおもちゃは大切にしよう。」 |
買い物中に駄々をこねる時 | 欲しいものがある | 「これが欲しいんだね。でも今日は買わないよ。」 |
お風呂を嫌がる時 | 遊びたい・面倒 | 「お風呂に入りたくない気分なんだね。でも体を洗うのは大切だよ。」 |
お別れの時に泣く | 寂しい | 「ママと離れるのが寂しいんだね。でもまた会えるよ。」 |
子どもが今感じていることを代わりに言葉にすることで、「自分の気持ちを理解してもらえた」という安心感を与えることができます。これが、子どもとの信頼関係を深める一歩にもつながります。
例えば、お友達におもちゃを取られて悲しんでいるときには、「○○ちゃんにおもちゃを取られて悲しかったんだね」と言ってあげることで、その子どもの悲しい気持ちを認めてあげることができます。これがその子にとって、感情を整理する手助けになりますよ。
このように、子どもの気持ちを代弁することは、感情の表現を学び、社会的なスキルを身につける大切なステップとなります。
お友達におもちゃを撮られた場面で、親がすぐに「許してあげなさい」「他のおもちゃで遊んでみなさい」などと答えてしまうと、子どもは自分の感情をじっくりと感じ、整理する時間が持てません。感情を整理する過程は、子どもにとってとても大切な経験だからこそ、親がその過程を見守ることが大切です。
代弁することで子どもの気持ちに寄り添った後は、無理に解決しようとせず、「それでも悲しいんだね」「今は怒ってるんだね」と共感してあげることで、子どもは自分の感情をしっかり感じ取ることができ、その後、自然に次の行動を選べるようになります。
感情を整理する力がつくと、子どもは少しずつ「どうして怒っているのか」「どうしたら気持ちが楽になるか」を考えられるようになるんです。それを育むために、親がすぐに結論を出さず、見守ってあげることが大切なんですね。
関連記事:子どもの塗り絵、はみ出しちゃうのはダメ?自由な表現の大切さ
3. 共感育児を成功させるためのポイント

全ての要求を受け入れるわけではない
「欲しい気持ちは分かるけど、今日は買わないよ」など、 子どもの気持ちを認めつつもルールを示しましょう。共感育児は「甘やかし」ではありません。例えば「食べ過ぎると良くないね」と伝えるなど、ルールはきちんと示す必要があります。
親の気持ちも大切にする
子どもにばかり共感していると親が疲れてしまいます。 「ママもちょっと休憩が必要なの」と伝えることも大切です。
すぐに効果が出なくても焦らない
共感育児は長い目で見て効果が出るもの。 「今日はうまくいかなかった」と思っても、少しずつ積み重ねていきましょう。感情を受け止めるプロセスには時間がかかるので焦らないことが大切。
他人の目を気にしすぎない
共感育児は、怒らない場面が多くなるため、周囲から「甘やかしすぎでは?」と言われることも。でも、育児方針は家庭ごとに違います。他人の意見に振り回されないようにしましょう。ただ、先ほど言ったように叱るときはきちんと叱り、ルールは示すようにしましょう。
発達段階ごとの親のサポート方法も知っておこう
発達段階 | サポートの特徴 | 例 |
---|---|---|
幼児期 (0~3歳) |
親のサポートが中心 自分で感情整理や行動選択が未発達なため、親が寄り添い、適切な選択肢を提示します。 |
「絵本を読もうか?それともブロックで遊ぶ?」 |
幼稚園~小学校低学年 (4~8歳) |
少しずつ自主性を育てる 感情整理能力が向上する時期。選択肢を示しながら自分で選ぶ時間を与え、自立心を養います。 |
「さっき怒っちゃったね。次はどうしたいと思う?」 |
小学校高学年~思春期 (9歳~) |
見守るサポートを重視 感情処理が自分でできるようになるため、親は過度に介入せず、相談された際にしっかり向き合います。 |
「そのことで悩んでるんだね。どうしたらいいか一緒に考えようか?それとも自分で考えたい?」 |
専門家の見解
- ダニエル・シーゲル博士:
「親が感情に寄り添うことで、子どもの脳は安心信号を受け取り、自己制御や学習能力が向上する」と述べています。 - ジョン・ゴットマン氏:
感情コーチングを通じた共感的対応が、子どもの情緒調整や社会性の発達に不可欠であると指摘しています。
サポートの種類 | 一言例 |
---|---|
気持ちを整理するサポート | 「〇〇は悲しかったんだね。それってすごく大事なことだよ。」 |
次の行動を考えるサポート | 「どうしたら楽しくなると思う?何かできることがあるかな?」 |
見守りながら応援する言葉 | 「〇〇が決めたことを応援するよ。やってみよう!」 |
子どもの気持ちを代弁した後は、感情を受け止める時間をとるようにしましょう。次の行動を一緒に考えることで、子どもの成長を促すことができます。親はサポート役。必要以上に手を出さず、自分で考える力を養う手助けをするのが理想的です。
「子どもの塗り絵、はみ出しちゃうのはダメ?自由な表現の大切さ
」
関連記事:パパも育児を楽しむためのヒント
4. まとめ:共感育児で子どもの心を育てよう
共感育児は、子どもの気持ちを理解し、親子の信頼関係を深める大切な方法です。時間はかかるかもしれませんが、 子どもが感情を素直に表現できる環境を作ることで、 自己肯定感や社会性を育むことができます。共感育児を実践していても、うまくいかない日もあります。そんなときは、「完璧じゃなくてもいい」と自分を許してあげましょう。
まずは今日から「悲しかったんだね」「悔しかったね」と 子どもの気持ちを言葉にしてみましょう。
もっと具体的な声かけの例を知りたい方へ!
共感育児の声かけフレーズ集(無料ダウンロード)

「子どもの創造力を伸ばす5つの方法」
「得意を伸ばす親の接し方」
「絵がうまくなる秘訣は自由な造形活動!おうちでできる簡単アイディア5選」
おもちゃ おもちゃサブスク おもちゃ選び方 お母さんの絵 お絵描き お絵描きの心理 お食事エプロン くれよん イラスト クレヨン クレヨンはみ出す ケーキスマッシュ 創造力 同じ絵を描く 子どもと一緒 子どもと楽しむ 子どものアート 子どものサイン 子どもの世界 子どもの工作 子どもの心を落ち着かせる 子どもの心理 子どもの才能 子どもの残酷な絵 子どもの特徴 子どもの絵 子育て 工作 工作嫌い 工作苦手 想像力 正解がない遊び 気になるお絵描き 筆圧 筆圧が弱い 筆圧が強い 育児 育児グッズ 育児用品 色塗り 色鉛筆 赤ちゃんとのおでかけ 造形 離乳食 1歳おすすめおもちゃ
Share this content:
itti-blogをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。
165 thoughts on “イヤイヤ期も怖くない!共感育児の実践例10選で子どもとの絆を深める”