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「これ、なにを描いたの?」
そう聞いたら、子どもに真顔で「わかんない」と言われた——。
3〜5歳の子どもの絵あるあるです。
でも実はそれ、異常でも、センス不足でもありません。
この「謎の絵」こそ、発達心理学的にはとてもまっとうな成長の途中。
その根拠になる理論のひとつが、ローエンフェルドの美術教育理論です。
ヴィクトル・ローエンフェルドとは?
ヴィクトル・ローエンフェルドは、
「子どもの絵は、上手さより“心と発達”を見るもの」
と考えた美術教育学者です。
彼の理論の特徴はとてもシンプル。
- 子どもの絵に「正解」はない
- 絵は技術より、発達段階の反映
- 自由な表現こそ、心の成長を支える
つまり——
大人の基準で評価すると、だいたい全部ズレる、という話です。
ローエンフェルドが示した「子どもの絵の発達段階」
ローエンフェルドは、子どもの絵を次のような段階で捉えました。
| 発達段階 | 年齢目安 | 絵の特徴 |
|---|---|---|
| 落書き期 | 2〜4歳 | ぐるぐる・線・点 |
| 図式前期 | 4〜7歳 | 人っぽい何かが出現 |
| 図式期 | 7〜9歳 | 型・ストーリーが生まれる |
| 写実期 | 9〜12歳 | 現実に近づけたい欲 |
※ 年齢はあくまで目安。前後してOKです。
【2〜4歳】落書き期
ぐるぐる線は「遊び」ではなく「発達」
この時期の子どもは、
描いている内容より、手を動かすこと自体が目的です。
- ぐるぐる
- ぐしゃぐしゃ
- 同じ線を何度も往復
大人が見ると
「紙がもったいない…」
「なにか描いてほしい…」
と思いがちですが、子どもは大真面目です。
親のベスト対応
- 大きな紙を用意する
- 「何描いたの?」は聞かなくてOK
- 「たくさん動かしたね!」とプロセスを承認
👉 この時期は“意味を求めない”のが正解です。
【4〜7歳】図式前期
謎の絵がいちばん量産される時期
3〜5歳でよく見られるのがこの段階。
- 頭から足が生えた「タダン人」
- 家族なのに人数が合わない
- 色が完全に気分任せ
ここで重要なのは、
子どもは「何を描いているか」を自分では分かっているという点。
ただし、それを
大人が理解できる形で描けるとは限りません。
親のベスト対応
- 「これ〇〇なの?」と決めつけない
- 「教えてくれる?」と聞く
- 正解探しをしない
👉 この時期、
一番やってはいけないのは「それ違うでしょ」です。
【7〜9歳】図式期
「うまくなった!」と感じ始める頃
この頃から、
- 家
- 家族
- 動物
- 空・地面
など、お決まりの型(図式)が生まれます。
「前よりちゃんとしてる!」
と感じたら、それは発達が進んだサイン。
親のベスト対応
- 絵の中の工夫を言葉にする
- 大きさ・配置に注目する
- 比較しない
【9〜12歳】写実期
「うまく描けない…」が増える時期
現実を意識し始める分、
「思った通りに描けない」問題が発生します。
ここで評価や修正が強すぎると、
描くこと自体をやめてしまう子も。
親のベスト対応
- 結果より過程を見る
- 技術より努力を承認
- 「楽しんでる?」を基準に
ローエンフェルドの言葉を、超やさしく言い換えると
- 絵はテストじゃない
- うまさは後からついてくる
- 今の絵は「今の心」
つまり——
ぐるぐるも、謎の人も、全部その子の現在地。
親記事とのつながり|ここも一緒に読むと安心です
3〜5歳の「謎の絵」が気になる方は、
年齢ごとの全体像もあわせて見ると、さらに安心できます。
🔗 年齢・発達段階で変わる子どもの絵|0歳〜思春期までの心の成長サイン
また、
「この絵、どう声かけしたらいい?」と迷ったら
🔗 子どもに共感するための会話術
もおすすめです。
まとめ|ぐるぐるは、ちゃんと成長している証拠
子どもの絵は、
「評価するもの」ではなく
「読み取るもの」。
ローエンフェルドの理論を知ると、
謎の絵がちょっと愛おしく見えてきます。
今日もまた、
意味不明な線が増えていたら——
それは、ちゃんと育っているサインです。
ローエンフェルドの発達段階論は、現在もなお子どもの絵を理解する基本理論として引用されています。
その原点となるのが、1956年に出版されたこの一冊です。
派手な実践テクニックが書かれている本ではありませんが、
- なぜこの年齢で「ぐるぐる」を描くのか
- なぜ人の形が崩れる時期があるのか
- 大人はどこまで介入すべきなのか
といった問いに対して、一貫した視点を与えてくれます。
このサイトで紹介している「発達段階ごとの絵の見方」も、
考え方の土台はこの理論にあります。
専門書ではありますが、子どもの絵を“評価せずに理解したい”と考える保護者・支援者にとって、
今なお価値のある一冊です。
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こんにちは!ITTI-BLOG(イッチーブログ)を運営している、いっちーです。
このブログでは、子どもの絵から心理を読み取り、心の成長や表現力を親子で一緒に楽しむヒントを発信しています。
「子どもの絵で心を読む専門サイト」として、日々の子育てに役立つ情報をお届けします。




