「以前より、絵の雰囲気がやわらかくなった気がする。」
「真っ黒ばかりだったのが、少しずつ色が増えてきたけれど……これって安心していいの?」
この記事の内容
最近、絵がちょっと変わった気がしませんか?
お子さんが描く絵をふと見たとき、「あれ?」と足が止まる瞬間。 以前は、画用紙が破れそうなほど力任せに描いていたり、画面全体が重たい色で埋め尽くされていたりして、見ていて胸がギュッとなるような絵が続いていたかもしれません。
それが最近、なんだか少し、雰囲気が違う。

「前ほど荒れていない気がする」
「少し穏やかになったかな?」
そう感じつつも、お母さんやお父さんの心には、まだ小さな不安が残っていますよね。
「本当に良くなっていると思っていいの?」
「たまたま今日だけ?」
「また明日、怖い絵に戻っちゃったらどうしよう……。」
心配して、調べて、悩み抜いてきたからこそ、小さな「良報」を信じるのが怖くなってしまう。そのお気持ち、本当によくわかります。
でも、大丈夫ですよ。
子どもの絵は、心にトゲが刺さっているときだけでなく、「トゲが抜けて、安心し始めたとき」にも、ちゃんとサインを送ってくれます。
今日は、子どもの絵に表れる「回復と安心のサイン」について、元教諭の視点を交えながら、やさしく紐解いていきたいと思います。
子どもの絵は「回復するとき」にもちゃんと変わる
私たちはどうしても「問題のサイン」には敏感になりますが、「安心のサイン」は静かに、そっと現れるので見逃してしまいがちです。
不安やストレスの“出口”としての絵
これまでお子さんが描いてきた「激しい絵」や「暗い絵」は、心の中にあるモヤモヤを外に出すための、大切な「出口」でした。 出口から出し切って、心が少しずつ軽くなってくると、出口から出てくるものの形が変わります。変化があるということは、それだけでお子さんの心が「動いている」証拠なのです。
「元に戻る」ではなく「違う形に落ち着く」
よく「昔のような、明るい絵に戻ってほしい」と願う声を耳にしますが、実は回復とは「元に戻ること」ではありません。 つらい経験や葛藤を乗り越えて、「一つ大人になった新しい形」に落ち着いていく。以前と全く同じ絵にならなくても、今の絵にどこか「落ち着き」を感じるなら、それは立派な回復のサインです。
こんな変化が見えたら「安心・回復のサイン」かもしれません
具体的に、どのような変化が「安心」を表しているのでしょうか。滞在時間を延ばすつもりで、じっくり観察してみてくださいね。
線がやわらかくなった・力が抜けてきた

ガチガチと力が入った、突き刺すような線から、ふにゃっとした、あるいはスッと流れるような線へ。 これは、描く技術が「上手くなった」のではなく、体と心の「緊張が抜けた」ことの現れです。画用紙の上でリラックスできているのは、現実の生活でも「ここは安心できる場所だ」と心が感じ始めているサインです。
色が増えた/同じ色ばかり使わなくなった
黒や赤一択だった状態から、緑や黄色、青など、他の色が混ざり始めたら、それは「気持ちの引き出し」が増えてきた証拠です。 一色に閉じこもらなくても、他の色(感情)を受け入れる余裕が心に生まれてきたんですね。
モチーフが「攻撃」から「日常」に近づく
爆発、戦い、鋭い牙を持つ怪獣。そんな「攻撃的・防御的」なモチーフから、家、お花、食べたもの、隣にいる家族……といった「日常」の風景が描かれるようになる。 これは、心が「戦場(不安)」から「日常(平穏)」に帰ってきたサインです。
※ただし、怪獣が好きで描き続けていても、その怪獣が寝ていたり、笑っていたりするなら、それも立派な安心のサインですよ。
絵の途中でやめても平気になった
意外かもしれませんが、「描きかけでやめる」「最後まで塗りつぶさない」のも、回復期によく見られます。 以前は「全部塗りつぶさなきゃ気が済まない!」という強迫観念のような執着があった子が、「もうこれでいいや、おやつ食べよう!」と筆を置く。これは、完璧にやり遂げなくても自分は大丈夫、という安心感の表れです。

お伝えした「安心・回復のサイン」を、パパやママがいつでもパッと見返せるように、「モチーフ別・心の回復サイン一覧表」にまとめました。
スマホに保存したり、頭の片隅に置いておいたりして、お子さんの絵の変化を「宝探し」するように楽しんでみてくださいね。
🎨 【保存版】絵に現れる「安心・回復」のモチーフ一覧表
お子さんの絵の中に、こんなモチーフが増えてきたら「あ、心のエネルギーが貯まってきたかな?」と見守る目安になります。

| モチーフ | 象徴するキーワード | 回復のサイン(ここをチェック!) |
| ① 家・おうち | 安心・居場所・拠点 | 屋根、窓、ドアが揃っている。中に人がいたり、窓に明かりが灯っていたりする。 |
| ② 太陽 | エネルギー・見守り | 以前より大きく描かれる、明るい色が使われる、画面の隅から顔を出し始める。 |
| ③ 自然(木・花) | 安定感・生命力 | 地面にしっかり根を張っている。花が咲いている。緑や茶色が安定して使われている。 |
| ④ 複数の人物 | つながり・社会性 | 一人きりではなく、家族や友達が登場する。手をつないだり、距離が近かったりする。 |
| ⑤ 遊びの場面 | 心のゆとり・楽しさ | 公園、遊具、自分が遊んでいる姿。描くこと自体を楽しんでいる雰囲気がある。 |
| ⑥ 道・橋 | 未来・つながり | 行き止まりではなく、先が続いている道。対岸へ渡れる橋。どこかへ向かう意思。 |
| ⑦ やさしい動物 | 癒やし・親近感 | 犬、猫、うさぎなど。トゲトゲしていない、触れ合えるような身近な生き物。 |
💡 この表を見るときの大切なポイント
この一覧表は、「これがあるから100%安心!」という診断基準ではありません。大切なのは、「以前の絵と比べてどうかな?」という、お子さんだけの変化のグラデーションを感じ取ることです。
- 「急に」じゃなくて「少しずつ」で大丈夫昨日まで真っ黒だった絵が、今日から突然フルカラーになることは稀です。まずは「家の横に小さなお花が一つ咲いた」といった、小さな小さな変化を喜んであげてください。
- 言葉にしすぎなくてOK「元気になったんだね!」とプレッシャーをかける必要はありません。「今日はここにお花があるね」と、ありのままを認めてあげるだけで、お子さんの心は「見ていてくれるんだ」と深く安心します。
🔗 あわせて読みたい【保存版】子どもの絵の「色」からわかる心理!筆圧や塗り方で見る心の色診断
でも…「良くなってると思っていいの?」と不安になる理由
せっかくの回復サインを前にして、素直に喜べない自分を「冷たい親なのかな」なんて思わないでくださいね。
親は「異変」に比べて「回復」に気づきにくい
「悪いこと」は急激に起きるので目立ちますが、「良いこと」は坂道をゆっくり登るように、少しずつ、地味に起きます。 これまでたくさん心配して、傷ついてきたからこそ、「期待して裏切られるのが怖い」という守りの心理が働くのは、親として当然の防衛本能なんです。
正解を探してしまう親心
「これが回復の正解です!」という太鼓判が欲しくなるのも、愛情ゆえ。 ここで一度、深呼吸しましょう。正解はネットの中ではなく、描き終えたあとのお子さんの表情にあります。少しだけ、顔つきが柔らかくなっていませんか?
回復の途中で、また荒れた絵に戻ることもある?
ここ、一番気になるところですよね。
行ったり来たりは“よくあること”
回復の道のりは、一直線の右肩上がりではありません。 三歩進んで二歩下がる。昨日は穏やかな絵だったのに、今日はまた真っ黒……なんてことは、日常茶飯事です。
🟡 大人だって、昨日は「明日から頑張るぞ!」と思ったのに、今日は「もう無理、寝る……」ってなること、ありますよね。 お子さんも同じです。行ったり来たりしながら、少しずつ平均値を「安心」の方へずらしている最中なんです。
「前より戻りが早い」は立派な成長
たとえ「荒れた絵」に戻ったとしても、以前はそれが一ヶ月続いていたのが、今回は三日で終わった。 これ、ものすごい成長です! 「自分を整えるスピードが速くなった」ということ。中身は確実に進化しています。
色がいっぱいでワクワク!
どんな絵を描くときも、豊富な色のクレヨンで表現の幅を広げよう。 他にはないちょっと特別な色があると、子どものワクワク感もアップします。
ぺんてる 専門家用パス 49色
他の子とちょっと違う色が使える特別感も魅力。 お絵描きがもっと楽しくなるクレヨンです。
回復サインが見えたとき、親ができる関わり方
お子さんの絵に「安心」が見えてきたとき、私たちはどう声をかければいいのでしょうか。

特別な声かけはいらない
「最近、明るい絵になったね! よかった!」 ……実はこれ、逆効果になることがあります。「明るい絵を描かないとママを心配させるんだ」「今の状態を維持しなきゃ」と、お子さんに新たなプレッシャーを与えてしまうからです。
おすすめの関わり方3つ
- いつも通り: 特別視せず、普通に接する。これが一番の「安心」のメッセージです。
- 絵の評価をしない: 「上手」「下手」「明るい」ではなく、「ここに赤があるね」「たくさん描いたね」と事実を伝えるだけ。
- 心の中でガッツポーズ: お子さんに悟られないように、トイレやキッチンで「よしっ!」とガッツポーズしてください(笑)。お母さんの心の安定が、お子さんに伝わります。
それでも気になるときは、ここだけ見てみて
絵の変化が本物かどうか、以下の「生活のサイン」も併せて確認してみましょう。
- 睡眠: 寝つきが良くなった、夜中に起きなくなった。
- 食事: 「おいしい」と言って食べるようになった。
- 表情: ふとした時の表情が、険しくない。
- 遊び: 絵以外の遊び(ブロック、ごっこ遊びなど)にバリエーションが出てきた。
絵が多少荒れていても、生活が落ち着いてきているなら、その絵は「最後の出し切り」かもしれません。
まとめ:気づけたあなたは、もう十分寄り添えています
子どもの回復は、とても静かで、地味で、少しずつです。 そのわずかな線の揺らぎや、色の変化に気づいて「もしかして……」と思えたあなた。
あなたは、お子さんの心の動きをそれほどまでに繊細に、愛情深く見守ってきたということです。

「何かしてあげなきゃ」と焦らなくて大丈夫。 お子さんは今、自分の力で、そしてあなたの温かい見守りの中で、ゆっくりと自分を立て直しています。
締めの一文: 「最近、少し変わったかな?」と気づけたその瞬間から、親子の新しい安心はもう始まっています。
今日は自分に「お疲れ様」と言って、少し高めのアイスでも食べてくださいね。 見守れている今のあなたなら、もう大丈夫。
今日も一日おつかれさま。
今日は美味しいアイスでも食べて、
ちょっとだけ自分を甘やかそう。
今日は美味しいアイスでも食べて、
ちょっとだけ自分を甘やかそう。
子どもの気持ちに向き合った日は、
ママの心も、ちゃんと回復が必要です。
甘いものは「逃げ」じゃなくて、心を整えるための休憩。
いかがでしたか? 「うちの子も、最近こんな風に絵が変わってきました!」というエピソードがあれば、ぜひコメントで教えてくださいね。一つひとつの小さな変化を、みんなで一緒にお祝いしていきましょう。
【あわせて読みたい関連記事】
📘 あわせて読みたい|子どもの絵の心理を深く知る
この記事を読んで「他の絵も気になる」「全体像を知りたい」と感じた方へ。
- ▶ モチーフ別で絵を見る
- ▶ 感情・心理サインから読む
- ▶ 思春期の絵の変化を知る
- ▶ 年齢・発達段階の視点
- ▶ 親の関わり方ガイド
- ▶ 「心配な絵?」と感じたときに
📚 子どもの自信と安心をそっと育てるガイド
子どもが「できたかも」と感じられたり、ほっとできる時間が少しずつ増えていくための関わり方をまとめています。
ゆっくり全体を見たいときにどうぞ。
ガイドページを見るホーム » 最近、子どもの絵がやさしくなった?それは“安心・回復”のサインかもしれません
この記事が「いいな」と思ったら、noteのフォローやYouTubeのチェックもお願いします!がぜんやる気になります!
正解を探すより、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まる時間を。
※唯一の正解はありません。その子に合うかどうかを、一緒に考えませんか。
\ 答えのない、子育ての迷いの中にいるあなたへ /
ブログでは「教育のヒント」を書いていますが、
実は私自身、毎日が迷いと後悔の連続です。
教科書通りの正解に傷ついたとき、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まって、
静かに自分と向き合える場所をnoteに作りました。
このブログはPRを含みます
いっちー
元教諭(15年+)&プロカメラマン。
わが子の発達グレーやきょうだい児の葛藤に、涙でティッシュの山を築きながら向き合っている現役の母です。
教育の現場を知っているからこそ、外側から「正解」を押しつけられることの息苦しさや、もどかしさを感じてきました。
キラキラした正解の中で、無理をして生きるのはしんどいですよね。
「こうすべき」の前に、「この子の場合はどうだろう?」と、一緒に立ち止まれる場所でありたいと思っています。
子どもの絵に宿るサインや、言葉にならない心の機微をそっと眺めて。
今日をなんとかやり過ごすための「余白」を、一緒に見つけにいきませんか。







