真っ黒なぐるぐる、血のような赤、鋭い牙の怪物——お子さんが描いた絵を見て、ドキッとしたことはありませんか?
「園で何かあったのかな」「ストレスが溜まっているの?」そんな不安に突き動かされて、検索した方もいるかもしれません。

結論からお伝えすると、子どもが「こわい絵」を描くのは珍しいことでも異常なことでもありません。むしろ心の発達が順調な証拠であるケースがとても多いです。元教諭の視点から、「こわい絵」の裏側に隠された意外な本音と、肩の力を抜いて見守るためのポイントをお伝えします。
この記事でわかること:
- 「こわい絵」が発達あるあるである理由
- 心配しなくていいサインと、立ち止まって見たいサインの違い
- やってしまいがちなNG反応と、元教諭おすすめの声かけ3選
- 「こわい絵」が実は育てている3つの力
- どうしても不安なときの相談の目安
「この絵、大丈夫かな?」と思ったら
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子どもが「こわい絵」を描くのは、実は”発達あるある”
特に2〜6歳ごろは想像力とイメージの爆発期。昨日まで「丸」を描くだけだった子が、急に恐ろしいものを描き始めることがあります。この時期の子どもは「強いもの」「怖いもの」「得体の知れないもの」に対する好奇心が旺盛で、大人が思うよりずっとシンプルな動機で怖い絵を描いています。

こわい絵を描く3つのよくある理由
- 強さへの憧れ:ゾンビや怪獣は「無敵」の象徴として映っている
- 影響を受けただけ:絵本・ゲーム・流行りのYouTubeの影響
- 達成感の実験:「こんなに怖く描けた! すごい!」という満足感
本人に聞くと「かっこいいでしょ!」が返ってくることが多い
「これ? ゾンビ! 世界で一番強いんだよ」——そんな風に、キラキラした目で返ってくることも多いんです。怖い絵を描いているとき、子どもは多くの場合、不安ではなくむしろ元気いっぱいです。
心配しなくていいサインと、立ち止まって見たいサインの違い
「大丈夫ですよ」と言われても、やっぱり心配……。そんな方のために、元教諭として大切にしていた「見極めの視点」をお伝えします。

心配しなくていいサイン
立ち止まって見たいサインが重なるときは、絵そのものより「最近、進級・下の子の誕生・園でのトラブルなど環境の変化があったかな?」と生活全体を振り返るきっかけにしてみてください。
絶対にやってほしくない親のNG反応(でも、やりがち)
不安になると、ついいつもは言わないような言葉が出てしまうことがありますよね。でも、子どもにとって絵は「自分自身の一部」です。
NGな言葉が与える影響
✗ 避けたい関わり方
- 「なんでこんな気味の悪い絵を描くの?」
- 「怖いからもうやめなさい」と禁止する
- 「もっとお花とかかわいいの描いたら?」と誘導する
✔ 心が開く関わり方
- 「力強く描けたね」と事実だけ伝える
- 「これ、誰がいるの?」と物語として聞く
- 描いている時の表情・熱量を見守る
せっかく「見て! 描けたよ!」と持ってきた絵を否定されると、子どもは「絵を否定された」のではなく「自分の存在を否定された」と感じてしまいます。表現の出口をふさがれた子どもは「ママたちが喜ぶ絵」しか描かなくなり、本当の気持ちを隠すようになってしまいます。
元教諭おすすめの声かけ3選

① 評価せず、事実だけ伝える
「怖い絵だね」と言う代わりに、「力強く描けたね」「今日はこの色をたくさん使ったんだね」と、事実だけを伝えます。まずそこにある表現を丸ごと「そうなんだ」と受け止めるだけで、子どもは安心します。
② 物語として聞く
「これ、どういう絵なの? 誰がいるの?」とインタビューするように聞いてみてください。「この怪獣は、本当は寂しいんだよ」なんていう意外な物語が飛び出すかもしれません。子どもは自分の空想を共有できることが、何より嬉しいのです。
③ 絵より「描いているときの様子」を見る
絵の「できあがり」を分析するより、描いている最中の表情を見てください。真剣な顔、楽しそうな顔、没頭している姿——そのプロセスそのものを肯定してあげましょう。正解を求めて立ち止まるより、その熱量に一緒に居合わせることが、お子さんへの最大の安心になります。
「こわい絵」が実は育てている3つの力
「こわい絵」はネガティブなものではなく、お子さんの成長を助ける道具でもあります。

① 感情を外に出す力(カタルシス効果)
言葉にできないモヤモヤやイライラを絵にぶつけて発散することで、心の中がスッキリします。絵は子どもにとって、感情のデトックス装置でもあるのです。
② 想像力・構成力
「怖い世界」を作るためには、設定やストーリーを考える高度な思考力が必要です。「この怪獣には弱点があって……」と話す子どもは、複雑な物語を構築する力を着実に育てています。
③ 自己肯定感の土台
「どんな絵を描いても、ママたちは驚かずに受け止めてくれる」という安心感が、自分の感覚を信じる力につながります。真っ黒な絵を描けるということは、「この家なら何を見せても愛される」と確信しているサインです。
よくある質問(Q&A)
Q:怖い絵ばかり描くのは異常ですか?
A:多くの場合は異常ではありません。感情の整理・強さへの憧れ・一時的なブームのことがほとんどです。描いた後にスッキリしている・楽しそうに説明できるという場合は心配不要です。
Q:黒や赤ばかり使うのは心配?
A:1〜2枚であれば感情表現の一つとして受け止めて大丈夫です。2週間以上続く・食欲や睡眠など生活にも変化が出てきたときだけ注意しましょう。
Q:「なぜ描いたの?」と聞いた方がいい?
A:問い詰める必要はありません。「教えてくれたら嬉しいな」くらいの距離感で。「これ、どんなお話があるの?」と物語として聞くと、子どもが自然に話してくれることが多いです。
Q:保育園・幼稚園の先生に相談すべき?
A:「家でこんな絵を描くのですが、園ではどうですか?」とさらっと聞いてみるだけで十分です。不安が続くなら市町村の子育て相談も利用できます。「大げさかな」と思わず、気軽に声をかけてみてください。
Q:止めさせた方がいい?
A:基本的に止めさせる必要はありません。禁止すると表現の出口が塞がれて、本当の気持ちを隠すようになってしまいます。「どんな絵を描いても大丈夫」という空気をつくることが、心の安全基地になります。

✅ まとめ:「こわい絵」は今この瞬間の心の実況中継
- 子どもが怖い絵を描くのは「発達あるある」。2〜6歳は強さ・怖さへの好奇心が旺盛な時期で、心の発達が順調なサインであることが多い
- 心配しなくていいサインは「描いた後ケロッとしている・楽しそうに話す・生活は変わりない」。「同じテーマが数ヶ月続く・生活にも変化がある」ときだけ立ち止まるきっかけに
- 絵を否定したり禁止したりするのは逆効果。「どんな絵を描いても受け止める」という空気が子どもの心の安全基地になる
- おすすめの声かけは「事実だけ伝える・物語として聞く・描いているときの様子を見る」の3つ
- 「こわい絵」は感情のデトックス・想像力・自己肯定感の土台を育てている大切な表現
- 真っ黒な絵を見せてくれるのは「この家なら何を描いても愛される」という信頼の証。その絵は、あなたへのラブレターかもしれません
「これ、怖いね〜! かっこいい怪獣だね!」と笑いながら受け取ってあげてください。それだけで、お子さんの心はカラフルで健やかに育っていきます。
ダウンロードして使えるテンプレート配布中
怖い絵のサイン判別シート👇
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正解を探すより、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まる時間を。
※唯一の正解はありません。その子に合うかどうかを、一緒に考えませんか。
いっちー
元小学校教員(15年)
ベビー&キッズ専門フォトグラファー
小学校で15年、子どもたちの育ちを間近で見てきました。その経験から、ベビー&キッズ専門フォトグラファーへ転身。
レンズを通して感じる毎日——
かわいい。謎い。純粋すぎる。
「うちの子、大丈夫かな」という不安がそっとほぐれるような記事を書いています。
この場所で書いていること
・ 子育てあるある
・ 毎日の小さな楽しみを見つけるヒント
・ 絵や行動から読み取る子どもの心

