「一生懸命描いていると思ったら、最後は真っ黒に塗りつぶしちゃった。」
「力任せにぐりぐりと、なんだか荒い線ばかり。これってストレスなの?」

この記事の内容
画用紙を埋め尽くす「ぐりぐり」に、親がドキッとする理由
画用紙の真ん中に描いた、せっかくのかわいいお花。 それを上から真っ黒や真っ赤な色で、力任せに「ぐりぐり」「ぐるぐる」……。 最終的には、何が描いてあったのか分からないほど色が重なり、紙が破れそうになっている。
そんな光景を見た瞬間、パパやママの心には、ざわざわとした不安が広がります。
「さっきまでニコニコしてたのに、本当は怒ってる?」
「何か嫌なことがあって、心が荒れているの?」
一度「ストレスかな?」と疑い始めると、わが子が抱えているかもしれない「心の闇」を探してしまい、検索窓に「子ども 絵 ぐちゃぐちゃ 心理」なんて打ち込んでしまう。そのお気持ち、本当によくわかります。
でも、まず最初にお伝えさせてください。
お子さんの「ぐりぐり」や「塗り重ね」は、決して心のSOSとは限りません。むしろ、それは「今、心がダイナミックに動いている証」であり、表現の成長プロセスそのものなんです。

今日は、大人が不安になりやすい「ぐりぐり線」の正体と、色彩心理から見た本当の意味、そして親御さんが安心して見守るための視点を、元教諭の視点からやさしく紐解いていきます。
ぐりぐり線・ぐるぐる模様って、そもそも何?
大人の目には「雑」や「荒れ」に見えるその線。子どもたちの世界では、全く別のことが起きています。
大人の目には「雑」「荒い」に見える理由
私たちはつい、絵を「形」で評価してしまいます。
「りんごが描けた」「顔が描けた」という結果をゴールにしているため、それを塗りつぶす行為は、せっかくの成果を台無しにしているように見えるのです。 「はみ出している」「色が重なって汚れている」……。そんな違和感から、「ちゃんと描いていない=心が乱れている」と結びつけてしまいがちです。
子どもにとっては“描いている”より“動いている”

子どもにとって、特にお絵描きの初期段階では、絵は「視覚的な結果」ではなく「身体的な運動」です。 肩を回し、腕を動かし、ペン先から色がほとばしる。その「動かしている感覚」そのものが、彼らにとっては最高に楽しいライブパフォーマンスなんです。 力を込めて回す、ピタッと止める。感情のエネルギーと身体の動きが連動している状態。それが「ぐりぐり」の正体です。
子どもが絵を描くとき、
いちばん大切なのは「上手に描けるか」ではありません。
失敗しても、怒られない。
はみ出しても、大丈夫。
そう思える環境があると、
絵は「気持ちを出す場所」に変わります。
※線が太く、力加減がそのまま出るため、
感情が内にこもりやすい子にも向いています。
色彩心理から見る「ぐりぐり」の意味
色が重なって真っ黒になるのを見ると、「心理的に暗いのでは?」と心配になりますよね。でも、色彩心理の視点から見ると、また違った側面が見えてきます。

なぜ色を何度も重ねるの?
子どもが色を塗り重ねるのは、「気持ちが一色で終わらないから」です。
「もっと出したい」「もっと濃くしたい」という欲求。これは、自分の内側にあるエネルギーを外に放出しきろうとする、健全な処理プロセスです。 描き終えたあとに「真っ黒になっちゃった(笑)」と満足そうなら、それは心の中のエネルギーを出し切った「完遂感」の表れ。むしろ心はスッキリ整っています。
よく使われる色と“ありがちな誤解”
- 黒=怖い?(NO): 黒は最も強くて、下の色を隠してくれる「安心」の色でもあります。すべてを包み込みたいときによく使われます。
- 赤=怒り?(それだけじゃない): 赤は「生命力」や「興奮」の色。最高に嬉しいときや、やる気に満ちているときにも、赤のぐりぐりは出現します。
- 濃い色=危険?(多くは違う): 単に「色の変化」を楽しんでいるだけの場合がほとんど。色が混ざって変わっていく不思議に没頭しているのです。
「色=性格」ではありません。 その瞬間の「気分の温度」だと思ってくださいね。
🔗子どもの絵の色が気になる?色彩心理だけで判断しないでほしい理由
実はよくある「ぐりぐり期」年齢別の見え方
「ぐりぐり」の意味は、年齢によって少しずつ変化します。
🔗【保存版】年齢・発達段階で変わる子どもの絵|0歳〜思春期までの心の成長
2〜3歳:身体主導の表現
この時期は、思い通りに手が動くことが楽しくて仕方がありません。 「ぐるぐる」は、手首や肘の関節が発達してきた証拠。発達のど真ん中、真っ当な成長の証です。「荒れている」のではなく「動かせるようになった!」という喜びの表現です。🔗ぐちゃぐちゃばかり描く子の気持ち
4〜5歳:気持ちの量が増えて追いつかない

幼稚園や保育園で、いろんな刺激を受ける時期。 「嬉しい」「悔しい」「勝ちたい」「びっくりした」。そんな言葉にできない感情の渋滞が起きたとき、子どもはそれを線に託して、ぐりぐりと描きなぐります。感情を整えるための自浄作用です。🔗3歳〜5歳の子どもの絵はどう変化していく?
小学校前後:考えすぎて手が止まる前段階
「上手に描かなきゃ」という意識が芽生える頃、思うように描けないもどかしさを、ぐりぐり線で発散することがあります。 これは、「形にする一歩手前のエネルギー放出」。ここで出し切ることで、また新しい形を描く準備をしているのです。🔗小学生が絵を描かなくなる理由
「荒れてる?」と感じたとき、見てほしい3つの視点
それでも「やっぱり心配」というときは、絵の「外側」にある3つのポイントをチェックしてみてください。
① 絵のあと、子どもはどうしている?
描き終えたあとの表情を見てください。 「できたー!」とケロッとしていたり、すぐに次のおもちゃで遊び始めたりしているなら、それは絵の中で感情を出し切り、すでにリセットが完了したサインです。
② ずっと同じぐりぐりが続いている?
比較すべきは「他の子」ではなく「昨日のわが子」です。 たまたま今日だけ激しいぐりぐりを描いているなら、それは一時的な気分の揺れ。もし数ヶ月、全く同じ激しい表現だけが続いているなら、「何か伝えたいことがあるのかな?」と少しだけ意識を向けてあげましょう。🔗子どもの筆圧
③ 絵以外の生活はどう?
一番大事なのはここです。 食事、睡眠、家族との会話。 絵がどれほど荒れて見えても、普段の生活が安定しているなら、それはただの「表現」です。絵だけを切り取って「異常だ」と判断する必要はありません。
親がやりがちな“逆効果な声かけ”
不安になると、ついいつもは言わないような言葉が出てしまうことがあります。これ、私もよくやってしまいました(笑)。
- 「どうしたの? 怒ってるの?」 (「えっ、怒らなきゃいけないの?」と子どもが戸惑い、自分の気持ちに蓋をしてしまいます)
- 「もっとちゃんと描こうよ。きれいな色を使って」 (今の表現を否定されると、子どもは「描くこと」そのものが怖くなります)
- 「うわっ、黒ばっかりだね……(困り顔)」 (親の不安な顔は、子どもにとって一番のプレッシャーです。黒はかっこいい色だと思っている子も多いんですよ!)
安心を育てるおすすめの関わり方
お子さんが「ぐりぐり」を始めたとき、パパやママができる最高のアシストをご紹介します。

正解は「実況中継」
意味を解釈するのではなく、見えている事実をそのまま言葉にするだけでOKです。 「わあ、いっぱい重ねたね!」「ぐるぐる、すごく力強いね」「紙の端っこまで描いたんだね」。 これだけで、子どもは「自分の表現を丸ごと認められた」と深い安心感を得ます。
絵を“解釈しない勇気”
「これは〇〇の気持ちかな?」と深読みしすぎないこと。 子ども自身、理由があって描いているわけではないことも多いのです。意味をつけないまま、ただ隣にいる。 これが、思春期以降の信頼関係にもつながる「見守りの土台」になります。
ぐりぐりを止めない環境づくり
もしお子さんが「ぐりぐり」のパワー全開なら、それを存分に出せる環境を用意してあげましょう。

- カレンダーの裏のような、大きな紙。
- 握りやすくて折れにくい、太めのクレヨン。
- 多少はみ出しても「ま、いっか」と思える、新聞紙を敷いたテーブル。 「安心して出せる場所」があるだけで、子どもの心はぐっと安定します。
🖍️「思いっきり大きく描きたい!」そんな子にぴったりのロール紙です。

IKEA (イケア) MALA モーラ お絵かき用ロール紙 30 m 804.610.83
それでも心配なときのチェックポイント
基本的には見守りで大丈夫ですが、念のため「立ち止まる目安」もお伝えしておきますね。
- 数ヶ月間、全く同じ「激しい塗りつぶし」だけを描き続けている。
- お絵描き以外の遊び(ブロック、ごっこ遊びなど)に全く興味を示さなくなった。
- 表情が乏しく、生活全体に元気がない。
この場合は、「何か困っていることある?」とやさしく声をかけたり、園の先生に「最近少し気になっていて」と共有したりすることをおすすめします。親だけで抱え込まず、みんなで見守る姿勢が大切です。
子どもの「意味が分からない絵」や感情表現を理解したい方におすすめ!
「子どもが描く不思議な絵、どう受け止めればいい?」
この本は、保育や家庭ですぐ使える60の遊びを通して、
子どもの感情表現や心理理解をサポートしてくれます。
手元に置いておくと、日々の観察や関わりがぐっとラクになります。
Q&A
Q:ぐりぐりが多いのはストレス?
A:色を問わず楽しそうなら、発達と感覚欲求が中心です。
Q:このまま上手に描ける?
A:はい。むしろ基礎がしっかり育ちます。
Q:親は何もしなくていい?
A:口出しより「環境づくり」が一番のサポートです。
チェックリスト|自然なぐりぐり期のサイン
- 楽しそうに塗っている
- 集中時間が長い
- 大きな紙の方が落ち着く
- 色の混ざりを面白がる
- 描くこと自体が目的になっている
当てはまるほど、発達の流れとして自然です。
まとめ:ぐりぐりは「心が荒れている証拠」ではない
いかがでしたか? お子さんの「ぐりぐり」は、決して怖いものではありません。
それは、「感じて」→「動かして」→「出し切る」という、子どもなりの健全な感情処理のプロセスです。

親ができる一番のサポートは、急いで絵に意味をつけないこと。そして、お子さんが安心して感情を爆発させられる「真っ白な画用紙」であり続けることです。
締めの一文: 今日のぐりぐりは、今日のぶん。出し切ったら、明日はまた違う新しい線になるかもしれません。
「今日もいいぐりぐりだね!」と笑い飛ばして、わが子のダイナミックな成長を、一番近くで面白がっていきましょうね。
【あわせて読みたい関連記事】
いかがでしたか? 「うちの子のぐりぐり、最近こんな感じです!」というエピソードがあれば、ぜひコメントで教えてくださいね。みんなで「あるある」を共有して、不安を安心に変えていきましょう!
子どもの絵を見て、
「どう関わればいいのか分からなくなる」
そんな瞬間はありませんか。
この本が教えてくれるのは、
正しい言葉や、正解の対応ではありません。
「相手の感情に、どう居合わせるか」
その在り方です。
※「すぐに変わりたい人」より、
ゆっくりでも、深く向き合いたい人に向いています。
📘 あわせて読みたい
子どもの絵にあらわれる感情サイン総まとめ
不安・怒り・安心など、絵に出る気持ちを一覧で確認できます。
🔗【タイプ別】子どもの表現力を育てる通信教育5選|家庭で楽しく“感じる力”アップ
💥 感情が強く出ていると感じたら
ホーム » 「ぐりぐり」「ぐるぐる」が止まらない!子どもの塗り重ねと色彩心理。不安の正体と、見守り方のコツ
この記事が「いいな」と思ったら、noteのフォローやYouTubeのチェックもお願いします!がぜんやる気になります!
正解を探すより、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まる時間を。
※唯一の正解はありません。その子に合うかどうかを、一緒に考えませんか。
\ 答えのない、子育ての迷いの中にいるあなたへ /
ブログでは「教育のヒント」を書いていますが、
実は私自身、毎日が迷いと後悔の連続です。
教科書通りの正解に傷ついたとき、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まって、
静かに自分と向き合える場所をnoteに作りました。
このブログはPRを含みます
いっちー
元教諭(15年+)&プロカメラマン。
わが子の発達グレーやきょうだい児の葛藤に、涙でティッシュの山を築きながら向き合っている現役の母です。
教育の現場を知っているからこそ、外側から「正解」を押しつけられることの息苦しさや、もどかしさを感じてきました。
キラキラした正解の中で、無理をして生きるのはしんどいですよね。
「こうすべき」の前に、「この子の場合はどうだろう?」と、一緒に立ち止まれる場所でありたいと思っています。
子どもの絵に宿るサインや、言葉にならない心の機微をそっと眺めて。
今日をなんとかやり過ごすための「余白」を、一緒に見つけにいきませんか。







