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― その一言、悪気はなくても心を閉ざすことがあります ―
「何て言えばいいかわからない」より多いのは
「つい、言ってしまった…」
子どもの絵を見たとき、
多くの大人はこう思っています。
- ちゃんと反応しなきゃ
- 何か言わなきゃ
- 黙っているのは失礼かも
その結果、
一番よく使われている“無難な言葉”が、
実は子どもの心をそっと閉じてしまうことがあります。この記事では、
保育・教育現場、そして家庭でもよく使われがちな
「避けたい声かけ」を中心に、
- なぜ避けたいのか
- 代わりにどう関わればいいか
(言葉・態度・距離感)
をセットで整理します。
※「正しい声かけ」を覚える記事ではありません
※「やらなくていいこと」を減らす記事です
なぜ「OK声かけ」ではなく「避けたい言葉」なのか
保育士さんや先生から、よくこんな声を聞きます。
- 忙しくて、毎回完璧な言葉なんて選べない
- 咄嗟の一言がほとんど
- 頭ではわかっていても、口が先に動く
だからこそ大切なのは、
「これだけは言わない」
「この反応はしない」
というブレーキを持つこと。
ブレーキさえあれば、
多少言葉に詰まっても、
関係が壊れることはありません。
よくある「避けたい言葉」一覧と理由
①「上手だね」
なぜ避けたい?
一見、褒め言葉の代表格。
でもこの言葉は、子どもにこう伝わることがあります。
- 上手=評価されるもの
- 上手じゃないと描く意味がない
- 次も“上手に”描かなきゃ
結果、
描くことが表現から成績評価に変わることがあります。
代替の関わり(言葉)
- 「たくさん描いたね」
- 「ここまで描いたんだね」
- 「描こうと思ったんだね」
言葉以外の反応
- うなずく
- 絵を見る時間を取る
- すぐに次の子へ行かない
②「○○みたいだね」
なぜ避けたい?
大人の“理解しようとする姿勢”が、
無意識に正解探しになってしまう言葉。
- これは○○でしょ?
- こういう意味だよね?
と、子どもの世界を
大人の枠に当てはめてしまうことがあります。
代替の関わり(言葉)
- 「いろんな形があるね」
- 「ここ、気になるな」
- 「この色、目に入ってくるね」
言葉以外の反応
- 指でなぞらず、目で追う
- 首をかしげて“考える表情”を見せる
③「どういう意味?」
なぜ避けたい?
大人にとっては純粋な質問。
でも子どもにとっては、
- 説明しなきゃいけない
- 意味がないとダメ
- わからないと困らせる
というプレッシャーになりやすい言葉です。
特に低年齢や感覚型の子どもには負担が大きめ。
代替の関わり(言葉)
- 「見せてくれたんだね」
- 「今は、こんな感じなんだね」
- 「言葉にしなくても大丈夫だよ」
言葉以外の反応
- 黙って少し見る
- 絵を返すときに丁寧に渡す
④「なんで黒ばっかりなの?」
なぜ避けたい?
色を理由にすると、
子どもは選んだ自分を否定されたと感じやすくなります。
- 変だった?
- おかしかった?
という不安につながることも。
代替の関わり(言葉)
- 「今日はこの色なんだね」
- 「この色、たくさん使ったね」
※ 理由を聞かなくてもOK
⑤「すごいね!(だけ)」
なぜ避けたい?
万能すぎて、
何がどう良かったのかが伝わらない言葉。
言われ続けると、
子どもは反応だけを待つようになることもあります。
代替の関わり(言葉)
- 「ここまで描いたのが伝わってくる」
- 「集中してたね」
実は一番大事なのは「言葉」よりも…
避けたいのは、言葉そのものより「態度」
同じ言葉でも、
- 立ったまま
- 片付けをしながら
- 早く次に行きたい顔で
言われると、
子どもはちゃんと感じ取ります。
逆に、
- 目線を下げる
- 数秒でも見る
- 急がせない
これだけで、
言葉が少なくても安心は伝わります。
現場で使える「迷ったときの安全反応」
何て言えばいいかわからないときは、
この3つだけ覚えておくと大丈夫です。
- 否定しない
- 意味を聞かない
- 急がせない
それだけで、
「避けたい声かけ」は自然と減っていきます。
親記事とのつながり
この記事は、
親記事
「子どもの絵を見たとき、親はどう関わればいい?|心を閉ざさない声かけ・距離感ガイド」
で紹介している
- 評価しない
- 解釈しすぎない
- 主役を子どもに戻す
という基本原則を、
“現場でやりがちな失敗”から具体化した実践編です。
チェックリスト
子どもの絵を見たとき「避けたい反応」セルフチェック
※ 保育・教育現場/家庭どちらでも使用可
□ 絵を見てすぐ「上手だね」と言っている
□ 「○○みたい」と大人の解釈を先に出している
□ 意味や理由を説明させようとしている
□ 色や形の理由を質問している
□ 立ったまま・作業しながら反応している
□ 早く次に進みたい気持ちが顔に出ている
□ 反応しないといけない、と焦っている
→ 3つ以上当てはまっても問題ありません。
気づけたこと自体が、もう十分な関わりの第一歩です。
Q&A
Q1. 「上手だね」は絶対に言ってはいけませんか?
A. 禁止ではありません。
ただし、毎回それだけになると、評価を期待する描き方に偏ることがあります。
「描いたこと」「取り組んだこと」に目を向ける言葉と併用するのがおすすめです。
Q2. 子どもが「これ何?」と聞いてきたら、どう答えればいい?
A. 正解を提示する必要はありません。
「どう思う?」「見てくれたんだね」と問いを返さず受け取る反応でも十分です。
Q3. 暗い絵や怖い絵でも、同じ対応でいいですか?
A. 基本は同じです。
意味を探ったり理由を聞くより、
「描きたい気持ちがあったこと」をまず受け止めましょう。
Q4. 無言で渡されたときは、声をかけない方がいい?
A. 無理に言葉を探さなくて大丈夫です。
数秒見る、うなずく、丁寧に返すなど、非言語の反応が安心につながります。
Q5. 保育現場で時間がなくてもできる関わりは?
A. 「立ち止まって見る」「急がせない」
この2つだけ意識すれば、言葉が少なくても十分です。
まとめ
子どもの絵を前にしたとき、
完璧な言葉はいりません。
でも、
- つい言ってしまう一言
- 無意識の反応
が積み重なると、
描くことそのものが遠ざかることがあります。
「何を言うか」より、
「何を言わなくていいか」
それを知っているだけで、
子どもとの関係は、ずっと楽になります。
👉詳しく|年齢・発達段階の視点
- ▶ モチーフ別で絵を見る
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📚 子どもの自信と安心をそっと育てるガイド
子どもが「できたかも」と感じられたり、ほっとできる時間が少しずつ増えていくための関わり方をまとめています。
ゆっくり全体を見たいときにどうぞ。
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こんにちは!ITTI-BLOG(イッチーブログ)を運営している、いっちーです。
このブログでは、子どもの絵から心理を読み取り、心の成長や表現力を親子で一緒に楽しむヒントを発信しています。
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