「うちの子、友達が泣いていても知らんぷりで…」「自分のことしか考えてないみたい」「思いやりって、どうやって育てるの?」
結論からお伝えすると、「思いやりがない」と感じるのは、ほとんどの場合「まだ育っている途中」のサインです。共感力は才能でも性格でもなく、年齢と経験に応じて少しずつ育っていく力です。今の年齢に合った関わり方を知るだけで、見え方がガラッと変わります。

この記事では、元教諭の視点から「共感力が育つ年齢別の目安」「心配なサインと様子見でいいサイン」「今日からできる声かけと習慣」を具体的にお伝えします。
まず判断——「思いやりがない」は心配?それとも発達途中?
| 状況 | 判断の目安 |
|---|---|
| 3歳以下で友達の気持ちに気づかない | ✅ 正常な発達段階。自分中心の世界にいる時期 |
| 泣いている子を見て「どうしたの?」と聞ける | ✅ 共感力が育っているサイン |
| 4〜5歳で相手の気持ちをときどき考えられる | ✅ 順調な発達。もう少し待って |
| 誰かが傷ついていても全く気にしない(年齢問わず) | 🔶 様子見。日常の関わりを見直すタイミング |
| 意図的に相手を傷つけて楽しむ行動が続く | ⚠️ 専門家への相談を検討 |

「思いやりがない」ように見えても、年齢的に「まだ発達中」のことがほとんどです。焦る前に、今の年齢で何ができれば十分かを確認しましょう。
共感力とは——「思いやり」との違いを整理する
「共感力」と「思いやり」は似ていますが、少し違います。
| 共感力 | 思いやり | |
|---|---|---|
| 意味 | 相手の気持ちを感じ・想像する力 | 相手を思って行動する力 |
| 順番 | 先に育つ(感じる) | 後から育つ(動く) |
| 例 | 「あの子、泣いてる…悲しいのかな」 | 「ティッシュ持っていってあげよう」 |
共感力が先に育ち、その上に思いやりが乗っかります。「感じる」がなければ「動く」は生まれません。まずは「感じる体験」を増やすことが先決です。

年齢別|今の段階で「できていれば十分」のライン
0〜2歳|自分の世界の中にいる時期
他人の感情に気づくこと自体がまだ難しい時期です。「思いやりがない」のではなく、まだ自分と他者の境界線が育っていない段階です。この時期に「他人を気にしなさい」と求めても難しいので、まず自分の感情を言葉にしてもらう体験を積み重ねます。
- 「取られて悲しかったね」と感情に名前をつけてあげる
- 「ママ、今ちょっと疲れてる」と親の感情も言葉にして見せる
3歳ごろ|気づき始めるけれど、すぐ自分の世界に戻る
「泣いてる、かわいそう」と言えるようになりますが、すぐに自分の遊びに戻ることも。これは普通です。「気づいた」という事実を認めることが次のステップになります。
- 「気づいてあげられたね」と気づきを褒める
- 「どうして泣いちゃったと思う?」と想像を促す
- 絵本の登場人物の気持ちを一緒に考える
4〜5歳|共感が行動につながり始める
「かわいそう」と感じて、ティッシュを渡すなど行動に移せる子が出てきます。この時期の共感行動は「できた体験」を積み重ねることで定着していきます。
- 「ハンカチ持っていく?」と行動につなぐ声かけ
- ごっこ遊びで「〇〇役になって感じる」体験を増やす
- 「あなたの言葉で元気になったね」と影響力を伝える
7〜8歳|「自分だったら」と想像できるが揺れる
「もし自分だったら」と考えられるようになりますが、正義感とのバランスで「怒り」に変わることも。感情の多様性(悲しい・悔しい・恥ずかしいなど)を理解するサポートが必要な時期です。
- 「〇〇くんはどんな気持ちだったと思う?」と視点切り替えの問いかけ
- 「怒るのも泣くのも大事な気持ち」と感情を肯定する
9歳以上|複雑な気持ちへの理解が育つ
本音と建前の違いに気づき、相手の事情も想像できるようになります。ただし正義感が強すぎてぶつかることもあります。「正しいこと」より「相手の立場」への想像力を広げるサポートが効果的です。
- ニュースの出来事を「あの人はなぜそうしたんだろう?」と多角的に考える習慣
- 「悪い人にも事情があるかもしれないね」という視点を一緒に探る
家庭でできる共感力トレーニング——遊び・絵本・会話
① 絵本の読み聞かせで「感情の言葉」を増やす
絵本は「安全な感情体験」の場です。登場人物の気持ちを一緒に考えることで、感情の種類と名前が増えていきます。
- 「この子、今どんな気持ちだと思う?」と読みながら問いかける
- 子どもが答えたら「そう感じたんだね」と受け止めるだけでOK
- 正解を求めず「いろんな感じ方があるんだね」と広げる

② ごっこ遊びで「役になりきる」体験
お医者さんごっこ・お店屋さんごっこ——役になりきって相手を思いやる動きを体で覚えることができます。「相手のために動く」という体験の積み重ねが、共感力の土台になります。
③ 日常会話で「感情の実況中継」をする
特別な練習は必要ありません。日常の中で感情を言葉にする機会を増やすだけで十分です。

- 「ニュースの人、困ってそうだね」——第三者の感情に気づかせる
- 「今日、ママは〇〇でうれしかった」——親自身の感情を言葉にして見せる
- 「あなたが手伝ってくれて、ありがたかった」——影響を言葉で伝える
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- 子どもを追い詰めない具体的な言葉がけがわかる
- 親自身のイライラを落ち着かせるヒントが載っている
- 日常の「あるある」な場面に沿ってすぐ実践できる
共感力を育てる「ほめ方」の3原則
共感力は「正しい行動を褒める」より、「気づいた瞬間・感じた瞬間を認める」ことで育ちます。
大人の目線では「ちょっとしたこと」でも、子どもの「気づき」はすごいことです。その瞬間を見逃さず言葉にするだけで、共感力は育っていきます。
よくある質問
Q. 3歳で友達に全く興味がない。発達に問題ある?
3歳ごろまでは自己中心的な段階が正常です。友達に興味がないように見えても、近くにいたい・同じことをしたいという並行遊びをしていれば、関わりの土台は育っています。まず親子の間で感情を言葉にする練習から始めてください。
Q. やさしくしすぎると損をする子にならない?
共感力と自己主張は矛盾しません。「相手の気持ちを想像する力」は、自分の気持ちも大切にしながら伝える力にもつながります。「やさしくする」と「自分を守る」は両立できると教えていきましょう。
Q. 親が共感力を意識しすぎて疲れてしまう
完璧にやろうとしなくて大丈夫です。日常の会話の中で「そうだったんだね」と受け止める一言を増やすだけで十分です。親自身が疲れているときは、無理に声かけしなくていい。まず自分の感情を大切にすることも、子どもへの良いモデルになります。
✏️ まとめ|「思いやりがない」は育ち途中のサイン——今日から変えられます
- 共感力は才能ではなく、年齢と体験に応じて育っていく力
- 3歳以下で思いやりがないのは正常な発達段階——焦らなくていい
- 「感じる(共感)」が先に育ち、「動く(思いやり)」は後から来る
- 絵本・ごっこ遊び・日常会話での「感情実況中継」が一番の近道
- 「気づいてあげられたね」の一言が、次の共感行動につながる
「思いやりがない」と心配になるとき、子どもは今まさに「感じる力」を育てている最中です。完璧に育てようとしなくていい。今日の日常の中に、一つ「感情を言葉にする瞬間」をつくるだけで十分です。
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正解を探すより、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まる時間を。
※唯一の正解はありません。その子に合うかどうかを、一緒に考えませんか。
いっちー
元小学校教員(15年)
ベビー&キッズ専門フォトグラファー
小学校で15年、子どもたちの育ちを間近で見てきました。その経験から、ベビー&キッズ専門フォトグラファーへ転身。
レンズを通して感じる毎日——
かわいい。謎い。純粋すぎる。
「うちの子、大丈夫かな」という不安がそっとほぐれるような記事を書いています。
この場所で書いていること
・ 子育てあるある
・ 毎日の小さな楽しみを見つけるヒント
・ 絵や行動から読み取る子どもの心


