モンスターばっかり描く我が子。
YouTubeのせい?それとも…?
「うちの子、最近ずっとモンスター描いてて…」
「YouTubeとかゲームで、変なキャラばっかり見てるから?」
そんなふうに感じたこと、ありませんか?
親としては、ちょっとモヤッとするものです。
「もっとかわいい絵、描いてくれてもいいのに」とか、
「なんか暴力的でイヤだな」とか。
さらには、「またこれ?いい加減飽きないの?」なんて気持ちになることも。
でも、実は。
その「モンスターの絵」って、子どもの内面がうまく表現されている、とても大切なサインなんです。
YouTubeやゲームからの影響はある。でも、それだけじゃない。
まず最初に。
たしかに、モンスターや怪獣の絵は、外部の影響を受けやすいジャンルです。
YouTubeで観たキャラクターや、ゲームのボスキャラ。
子どもはそのまま模写したり、ちょっとアレンジしたり。
今はSNSや配信を通じて、未就学児でも大量のビジュアル刺激に触れています。
でも――そこに「心」はちゃんとあるんです。
大人からすると「同じに見える絵」に、子どもなりの意味づけやアレンジが込められていたりします。
①モンスターは「強くなりたい」「守りたい」の気持ちのあらわれ
元教諭として、何百人もの子どもの絵を見てきましたが、
モンスターや怪獣を描く子には、ある共通点があります。
それは、
「大きな力」に対するあこがれや、対抗心、自己防衛の気持ち。
- 弟や妹が生まれて、ちょっと自分がかすんだ気がする
- 学校や園で、「本当は言い返したい」気持ちを飲み込んでいる
- 誰かに認めてもらいたいけど、うまく言えない
そんな気持ちを、“大きくて強くて自由な存在=モンスター”に重ねていることがあるのです。
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「破壊」「攻撃」=悪いわけじゃない
モンスターの特徴って、よく見ると「戦う」「壊す」「火を吹く」など、ちょっと激しめですよね。
だから、大人としては「暴力的では?」と不安になることもあります。
でも、実はそれ、
自分の中のモヤモヤや葛藤を、“外側の存在”にのせて整理しようとしている過程なんです。
感情をぶつけるのではなく、絵に「投影」することで、バランスを取ろうとしている。
言葉では整理できないものを、絵で発散する。
それは子どもにとって、ものすごく大事な「心の整理の方法」なんです。

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② “世界観”をつくる力がある
モンスターを描いている子の中には、「この子は〇〇の種族で、昔こんなことがあって…」といった“背景ストーリー”までしっかり持っている子がいます。
ゲームの影響?YouTubeの見すぎ?
そう思ってしまう親御さんの気持ちも、正直わかります。
でも、実はこういった物語づくりの背景には「想像の奥行き」や「情報を取捨選択する力」が育っている場合もあるんです。
▶今の子は、情報を“あっさり選ぶ”時代に生きている
昭和・平成世代の私たちと違って、今の子どもたちは小さいうちから情報にさらされ、「自分で選んで、自分で決める」場面が本当に多いです。
でも、選択って本来“経験”があってこそ深くできるもの。
経験が少ない状態での選択は、どうしても気持ちの入らない、あっさりしたものになりがちです。
しかも、取りこぼしたものを取りに戻るより、次に進んだ方が効率がいい――そんな価値観が、今の社会では合理的に見えることもあります。
▶そんな中で、「繰り返す遊び」は貴重な経験になる
だからこそ、モンスターを何体も描く、設定を練り直す、背景を描いては消す…
そうやって“同じテーマで繰り返し遊ぶこと”の価値は、むしろ今の時代の子どもにとって、とても大きいのだと思います。
一見「またモンスターばっかり描いて…」と見える遊びの中にも、
・自分なりに考え抜く力
・違う視点から試してみる柔軟性
・納得するまで繰り返す集中力
…そんな、“自分の答えを見つけていく経験”が、ぎゅっと詰まっていることもあるんです。
「また同じ絵…」にうんざりする前に見てほしいポイント
毎回モンスターばかり描いていると、つい「またこれか」と思ってしまうのも無理はありません。
でも、ちょっとだけ目をこらして見てみてください。
たとえば…
- 前より体の形がしっかりしてきた
- 色づかいが複雑になってきた
- 表情に「ちょっとした違い」が出てきた
- ストーリー性が増してきた
これって、「頭の中の世界」がどんどん豊かになっている証拠です。
創造性って、“違い”ではなく“深まり”で見ていくと、ぐんと見えてきます。
元教諭が現場で感じた、創造力が育つ子の共通点
私が教員をしていた頃、絵やものづくりが好きな子には、こんな傾向がありました。
✅ 発想を広げるのが上手
✅ 物語をつくる力がある
✅ 自分なりの表現を持っている
✅ 「うまく描けない」より「描くのが楽しい」が勝っている
そして、こういう子たちは、
「否定されない経験」が積み重なることで、自分の世界をどんどん広げていくんです。
お子さんはどうですか?✅してみてください。
🎭 ごっこ遊び・空想遊びでの姿
- 役になりきってストーリーを展開するのが得意
- 「じゃあ〇〇ってことにしよう!」と、遊びのルールを即興で作り出す
- 一人遊びでも、登場人物を作って物語を楽しむ
💬 話す・作文など言語表現での姿
- 言葉選びがユニークだったり、比喩が上手だったりする
- 物語を作ることが好きで、「自由作文」が大好物
- 見たこと、感じたことを、自分なりの言葉で語ろうとする(たとえ表現が未完成でも)
🧠 問題解決や学びの場面での姿
- 枠にとらわれず、自由なアイデアで考えるのが得意
- 「こうやったら面白いかも!」と、ちょっと変わったやり方を試すことも
- ただし、型にはめられる課題や、正解が決まっているものにはモチベーションが下がる傾向も
🤝 人との関わりでの姿
- 「こうしたらもっと楽しくなる」視点で友達を巻き込むのが上手
- 自分の中の世界観が強いため、ちょっとズレたやりとりになることもあるが、それもまた魅力
- 共感性が高いというより、「面白い」「楽しい」に引っ張られて動くタイプ
このタイプの子たちは、「表現したい!」という気持ちが先に立つので、
うまく表現できないことにストレスを感じるよりも、「試してみたい」が勝るんですよね。
逆に、枠にはめられると「やらされ感」が出てしまったり、
「正しくやる」ことにあまり重きを置かない子もいます。
だからこそ、
「また怪獣?」と思ったそのときにこそ、
ぜひ一言、こう聞いてみてほしいんです。
🗨「この子、どんな性格なの?」
🗨「何から守ってくれるの?」
🗨「名前は? 強さはどのくらい?」
そうするときっと、
子どもは嬉しそうに、“心のなかの冒険”を語ってくれるはず。
まとめ:モンスターは、心のなかのパワーと創造のかたまり
モンスターの絵は、
たんにYouTubeやゲームの模倣ではなく、
「自分を守る」「強くなる」「想像する」ための、心のツール。
私たち大人がそれに少し気づいて関わるだけで、
子どもはもっと「自分って面白い」と思えるようになります。
「表現するって、楽しい」
「自分の考えって、誰かに届くんだ」
そんな小さな実感の積み重ねが、
創造力にも、自己肯定感にも、つながっていくのです。
最後に:子どもの「好き」に入り込むって、ちょっと面白い
たしかに、ずっと怪獣ばっかりは飽きるし、うんざりもする。
でも、ちょっと目を凝らしてのぞいてみると、
子どもが何を感じて、何を描いているのかが、ふっと見えてきます。
それって、実はちょっと楽しくて、
「この子、こんなこと思ってたんだなぁ」なんて発見があったりして。
ぜひ、子どもの“モンスターの世界”に、ちょっと足を踏み入れてみてくださいね。
親子で一緒に、「創造の冒険」が始まるかもしれません。
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