
「先生、うちの子、家族の絵にパパを描かないんです…」「ママだけがすごく大きくて、他の家族は小さくて…
そんな声を、教育の現場で耳にすることがあります。
子どもが描く「家族の絵」は、何気ないようでいて、その時々の心の動きや、家族への思いが表れていることがあります。
今回は、子どもが家族をどう感じているのか、絵からやさしく読み解くヒントをご紹介します。
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子どもは感じたことをそのまま絵に映すことがある
子どもは、大人のように「こう描こう」と意識しているわけではなく、心の中にある思いを自然と絵に表すことがあります。
言葉でうまく表現しきれない年齢の子ほど、絵がその子の「気持ちを伝えてくれる」ツールになることも。
特に家族の絵は、身近な存在への関心や、安心できる人、いま感じている気持ちがそのまま表れることも多いようです。
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お母さんが大きく描かれている絵
「お母さんだけが大きく描かれていて、目立っている」
そんな絵はよく見られます。
これはたいてい、“大好き”“安心できる”という気持ちの表れ。
子どもにとって、お母さんがとても近い存在であることを表しているのかもしれません。
ただ、他の家族に比べてとても大きかったり、ママだけを丁寧に描いていたりする場合は、
「もっとそばにいたい」「ちょっぴり不安で、頼りたくなっている」という気持ちがあるのかもしれません。

お父さんが描かれていない絵もあるけれど…
家族の絵にお父さんが出てこないこともあります。
でも、それにはいろんな背景があるので、あまり心配しすぎないで大丈夫です。
たとえば、
- 会う時間が少なくて印象が薄い
- 何を描いたらいいか思いつかなかった
- ちょっと照れくさくて描かなかった
- お父さんのことをいつも考えているけど、今回は別のことが気になっていた
そんな理由が重なっていることも。
お父さんのことをどう思っているかは、絵だけでは決められないものです。
描いていない=気持ちがない、というわけではありません。
子どもなりに今の気分で描いているだけ、ということもよくあります。

兄弟姉妹の描かれ方もさまざま
兄弟姉妹の大きさや位置、色の使い方などにも、子どもなりの思いがにじむことがあります。
たとえば、
- 最近遊ぶ時間が少なかった
- ちょっとすれ違いがあった
- 弟や妹が急に大きくなったように見えた
そんな日々のちょっとした出来事が絵に出ることも。
「なんでこの子だけこんなふうに描いたんだろう?」と思ったときには、さりげなく会話のきっかけにしてみると、子どもの気持ちが見えてくるかもしれません。
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絵を見るときに大人が気をつけたいこと
子どもの絵を見て、「どういう意味があるんだろう」と不安になることもありますよね。
でも、絵はあくまでその時の「ひとコマ」にすぎません。
日常の中で、
「今日はママのことばかり描いていたけど、昨日はパパと楽しそうに話してたな」
「弟のことは描いてなかったけど、お風呂では仲良く遊んでいたな」
そんなふうに、絵と日常の様子を合わせて見ていくことが大切です。
「どうしてこの絵になったんだろう?」と、一緒に考えてみる姿勢が、子どもにとってはなにより嬉しいものかもしれません。
まとめ:絵は子どもの“今の気持ち”を伝えてくれる手がかり
お子さんが描いた「家族の絵」に、ちょっとした驚きや気づきがあると、
「うちの子、どう感じてるんだろう?」と気になってしまうこともあるかもしれません。
でも、絵は子どもの心のなかの景色のようなもの。
その時の感情や印象が反映される、小さな作品です。
「描いてくれたことが嬉しいな」
「そんなふうに家族のことを思ってくれてるんだね」
そんな声かけが、子どもにとって一番の安心につながります。
家族の絵は、親子の会話のきっかけにもなります。
その絵の中にある子どもの気持ちを、やさしく受けとめてみませんか?
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よくあるご質問|家族の絵、こんなときどう受け止めたらいい?
Q. ママばかり描いて、パパをまったく描かないのは大丈夫?
A.
大丈夫です。子どもは「今、一番心にある人」を描くことが多いもの。
ママとの関わりが多い時期だったり、ちょっぴり甘えたい気持ちがあるときは、自然とお母さんが大きい絵になることがあります。
パパとの関係が不安というより、「描くときに思い浮かばなかっただけ」という場合も多いですよ。
お父さんがいない絵だからといって、必ずしも“気持ちがない”というわけではありません。
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Q. いつも同じ構図で描いていて、ちょっと心配です…
A.
いつも同じ構図になるのは、お気に入りの描き方が定着しているだけかもしれません。
子どもは「うまく描けた!」という成功体験を大切にして、何度も繰り返すことがあります。
ただ、長い間まったく変化がないときは、「最近どんなことが楽しかった?」と話を広げてみると、子どもが今どんな気持ちを絵に出しているのか見えてくることがあります。
子どもの気持ちが絵に出るのは、自然なことです。
Q. お母さんがとても大きく描かれていて、他の家族が小さい…
A.
「ママが大好き!」という気持ちがそのまま出ているのかもしれません。
絵の中の大きさは、その人への関心の強さや安心感を表していることがよくあります。
たとえ他の家族が小さく描かれていても、それは“嫌い”という意味ではありません。
「〇〇ちゃんはママのことたくさん思ってくれてるんだね」と親の接し方を通して安心させてあげると、心もほどけていくことがありますよ。
Q. そもそも家族を描きたがらないんですが…?
A.
それも、立派な子どもの個性のひとつです。
「家族の絵を描かない理由」はいろいろあって、たとえば今は興味が別のものに向いていたり、描くことに気乗りしない時期なのかもしれません。
無理に描かせようとせず、自然なタイミングで子どもが描いてくれるのを待つ姿勢が大切です。
「描いてくれてありがとう」と伝えることで、子どもは自分の気持ちを絵に込めやすくなり、家庭環境が絵に表れるようになっていくこともあります。
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Q. お父さんの顔だけがないのはどうして?
A.
家族の絵にお父さんの顔がないと、ちょっとドキッとしてしまいますよね。
でも、これは「パパが嫌い」というわけではなく、描くときに思い浮かばなかった、もしくはどう描けばいいか迷っていたという場合もあります。
子どもは、まだ感情や関係をうまく整理できないこともあるので、絵の中にすべてが出るとは限りません。
普段の様子もあわせて見守ることで、子どもの気持ちの変化にも気づけるかもしれません。
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Q. 家族の人数が合わないんですが…?
A.
「うち、4人家族なのに3人しか描いてない…」なんてこともありますよね。
これも珍しいことではありません。
描ききれなかった、気分的にその日は描かなかった、印象が強かった人だけ描いたなど、子どもには子どもなりの理由があります。
家族の絵は子どもの心の断片。その一場面だけで判断せず、「今日はこういう気分だったんだな」と受けとめることで、自然と心のサインをキャッチしやすくなります。
Q. 家族がバラバラに描かれていて、つながりがなさそう…
A.
家族みんなが離れてポツポツと描かれていると、少し心配になりますよね。
でもこれも、空間のとらえ方や、「ひとりずつ丁寧に描きたかった」という表現の仕方かもしれません。
一緒に描かれていない=仲が悪いというわけではなく、
そのときの子どもの頭の中で、順番に思い浮かんだ人を順に描いたということも。
大切なのは、「どうしてこう描いたのかな?」と会話のきっかけにすることです。
Q. 自分のことをすごく小さく描いていて心配です…
A.
子どもが自分を小さく描くと、「自己肯定感が低いのかな…?」と心配になりますよね。
でも、小さく描く背景には、「ちょっと甘えたい気持ち」や「遠慮」「謙遜」のような気持ちが隠れていることもあります。
また、兄弟が多いと「自分は下の方だな」と思っていたり、ただの構図のバランスだったりすることも。
絵だけで決めつけずに、「〇〇ちゃんはここだね〜♡」とさりげなく受けとめてあげることが大切です。
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Q. 描いたあとにすぐ破ったり、ぐしゃぐしゃにしてしまいます…
A.
それは、もしかすると気持ちの揺れや、「見られたくない」気持ちがあったのかもしれません。
「描いたけど、恥ずかしくなった」「気に入らなかった」など、理由はさまざまです。
でもそれも、絵が心を映すツールになっている証拠。
無理に直させたり理由を聞いたりするより、「一生懸命描いたんだね」「気持ちこもってたね」とそっと気持ちを受けとめる姿勢が、子どもにとって安心感につながります。
このように、子どもが描く家族の絵には、今この瞬間の心の状態や家庭での安心感がにじみ出ることがあります。
正解や不正解で判断せず、「この子は今、どんなことを感じてるのかな?」とやさしく寄り添うことで、子ども自身も気持ちを整理できるようになっていきます。
年齢別|家族の絵の見方とポイント
子どもの絵は、年齢とともに少しずつ表現の仕方も変わっていきます。
でも、「うまい」「へた」で見るのではなく、その時期ならではの心の動きや関心に注目してみると、より深く寄り添うことができますよ。🔗興味ゼロからはじめる「お絵描き導入のゆるゆる作戦3つ」♪ – itti-blog
2〜3歳ごろ|「描く」より「なぐり描き」に意味がある
この時期はまだ人の形を描くことは少なく、〇や線をぐるぐると動かす「なぐり描き」が中心です。
でも、そこにも感情のエネルギーや「〇〇を描いたつもり」というイメージの芽が宿っています。
「これなあに?」ではなく、「どんなふうに描いたの?」と聞いてみるのがおすすめ。
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4〜5歳ごろ|人を「顔」として描く時期に
顔に手足がついた「頭足人(ずそくじん)」がよく描かれるようになります。
このころから身近な人を描く=関心の表れとなり、家族の絵も出てくるように。
大きさや配置、表情にその子なりの気持ちが見えることもあります。
「誰がいてくれてうれしいか」「誰に注目しているか」にもヒントが。
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6〜7歳ごろ|構図やストーリーが出てくる
家族を並べて描いたり、「運動会」「お出かけ」など情景のある絵を描くように。
安心感があると、自然と家族が近くに描かれる傾向があります。
逆に不安なときや拗ねているときには、自分だけ遠くに描かれたり、誰かがいなかったりすることも。
描かれているものだけでなく、「描かれなかったもの」もヒントになります。
8歳以上|意識的な表現や、描かない選択も
大きくなると、「うまく描けるかどうか」を気にするようになり、表現に対する恥じらいも出てきます。
家族を描かなくなる子もいますが、それも成長の一部であり、自立への一歩。
絵そのものより、普段の会話や関わりの中で、「心の安心」を支えることが大切になってきます。
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絵に出やすい子どもの心のサインまとめ
サイン | 考えられる気持ち | 受けとめ方のヒント |
---|---|---|
家族の一人がいない | そのときの関心が薄かった/描き忘れ/少し距離を感じている | 「今日は〇〇がいなかったね、何してたのかな?」など、やさしく声かけ |
自分がとても小さい | 遠慮している/自信がない/甘えたい気持ち | 「〇〇ちゃん、ここにいるね。がんばってるね」と存在を認めてあげて |
誰かがすごく大きい | その人が大好き/注目している/ちょっと怖い存在 | 「〇〇さんのこと、いっぱい思ってるんだね」と安心に変える声かけを |
家族がバラバラの場所にいる | 気持ちが安定していない/関係に少し距離を感じている | 「みんなそれぞれの場所で、なにしてるのかな?」とやさしく対話を |
描いたあとに破る・隠す | 気持ちを表現したけど見られたくない/気に入らない | 無理に聞かず「大事に描いてたね」と感情の存在だけを受けとめて |
子どもの絵には、言葉にならない気持ちや家庭の中での安心感がそっと表れています。
大人の見方ひとつで、「この子の心、ちゃんと届いてるよ」と伝えてあげることができるんですね。
そんなふうに、絵を“心の窓”として見守れる大人がひとりでも増えたら——
子どもたちの絵が、もっとのびのび、安心して描けるものになる気がします。

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