デジタル世代の子どもが紙に戸惑う理由とは?
子どもが紙に戻るときに感じる“不安”の正体とは?
「いつもはiPadで楽しそうに描いてるのに、紙を渡したら急に動かなくなって…」
そんな声を、親御さんからよく聞きます。
真っ白な紙を前にして、手が止まってしまう。
それは決して「やる気がない」「才能がない」わけではありません。
実はこれ、デジタルならではの育ちが、ちょっとした「描けなさ」につながっていることもあるんです。
デジタルには“背景がある”。アナログには“余白”がある。
iPadなどのデジタルツールでは、描くときに最初から画面に背景の色がついていることも多いですよね。
グレーのキャンバス、薄いベージュ、もしくはお気に入りのテンプレート。
一方、アナログのお絵描きは、「白い紙」が基本。
この真っ白な“余白”に、何を置くか、どこに描くかを自分で決める必要があるんです。
デジタル育ちの子には、それがとても大きなハードルに感じられることもあります。

「余白がこわい」と感じる心理とは?~子どもの心の声を聴く~
「この白い紙、なんかこわい…」
ある日、ある子がぽつりとつぶやいた言葉です。
それを聞いて、思わずドキッとしました。私たち大人が当たり前に思っている「自由に描いていい紙」が、子どもにとっては「何をどうしたらいいのかわからない場所」になっているのかもしれない、と気づかされたのです。
デジタルの世界では、選択肢が“見える形”で用意されています。ボタンを押せば色が変わる、ツールを選べば形が整う、失敗すれば「元に戻す」もワンタッチ。つまり、“安心して試せる仕組み”があらかじめ用意されています。
一方で、真っ白な紙には何のガイドもありません。
正解も見本もなく、ただぽんと渡される。これが、子どもにとっては「まちがえたらどうしよう」「何か描かなくちゃ」というプレッシャーになってしまうことがあるのです。

とくに「失敗したくない」「うまく描きたい」という思いが強い子ほど、この“余白”が不安のもとになる傾向があります。
そしてその背景には、「評価されることに敏感な心」「期待に応えたい気持ち」「安心して失敗できる環境が少ない現実」など、現代の子どもたちならではの心の声があるように感じます。
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紙と鉛筆が子どもにもたらす“安心”と“自由”
では、そんな子どもたちに、紙と鉛筆は向かないのでしょうか?
いえ、むしろ逆です。
紙と鉛筆には「やり直しがきかない不便さ」がある一方で、だからこそ「自分で考えて、自分のペースで表現する自由」があります。
最初は「こわい」と感じていた子も、繰り返し紙に触れるうちに、「こうやって描いてもいいんだ」「間違っても大丈夫なんだ」と、少しずつ“自分の表現”を受け入れられるようになっていきます。
紙の上では、線がガタガタになってもいい。(それも自分らしさ)
色がはみ出してもいい。(消せないことから学ぶことも多い)
描いては消して、また描き直して…そんな繰り返しの中で、子どもたちは「試してもいい」「間違ってもいい」という“安心”を、少しずつ感じていくのです。
鉛筆の手触り、紙の感触、描く音。
五感を使って自分と向き合う時間は、デジタルでは得にくい“心の整理”にもつながります。
大切なのは、「描くこと=完成させること」ではないということ。
自由に線を動かす、気持ちを込める、それ自体が子どもにとっての“自己表現”であり、“自己受容”の一歩なのです。
デジタルに慣れている子が、紙の余白に「不安」や「戸惑い」を感じるのは、実は自然なことかもしれません。
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「にじむ=失敗」だと思ってしまうワケ
デジタルのすごいところは、コントロールが効くこと。
線も色も、タップひとつで「思いどおり」に動いてくれるし、間違えてもすぐに元に戻せる。
水彩ツールでさえ、“思いどおりのにじみ”ができます。
でも、紙と絵の具だとそうはいきません。
水が多すぎて広がったり、隣の色と混ざったり、予定外の「にじみ」が生まれる。
それを初めて経験した子は、びっくりしてこう言うんです。
「あ…失敗しちゃった」
そう、「にじむこと」は、デジタルに慣れた子にとってコントロールできない不安=失敗に見えることがあるのです。
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偶然の面白さに気づくまでのステップ
でも、実はこの「にじみ」や「思ったところに描けなかった」が生み出す偶然って、
アナログ表現のいちばん楽しいところだったりします。
水がじわ〜っと広がって、まるで宇宙の星雲みたいになった。
思わぬ色が重なって、すてきなグラデーションになった。
そんな体験に出会うには、ちょっとしたステップが必要です。
- 最初から「うまく描こう」と思わないこと
- 予定どおりにいかないことも「味」だと気づけること
- 「へんな形になっちゃったね〜」って笑ってくれる大人がいること
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元教諭から:失敗を笑える“余白”を、家庭でどうつくる?
学校現場でも、「紙が白すぎて描けない子」は年々増えていました。
でも、「にじんでもいい」「線が曲がってもいい」と声をかけるだけで、
子どもはゆっくり自分のペースで描き出します。
家庭でもできることがあります。
- 「今日は“にじみ実験”してみようか」と、あえて失敗前提の遊びをする
- 描いたあとに「ここがにじんでておもしろいね」と視点をそえる
- 完成じゃなく“途中”を一緒に楽しむ
そうやって、「完成度」よりも「過程」を一緒に味わってくれる人がいると、
子どもはアナログの“自由”に少しずつ慣れていきます。
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おわりに:にじみと余白の中にある、子どもの心
デジタルで育つことは悪いことではありません。
でも、紙と鉛筆、水と絵の具でしか味わえない「にじみ」や「余白」には、
心をふわっとほどくチカラがあります。
iPadではうまくいくのに、紙では固まる——そんなとき、
その背景には「苦手」というよりも、「知らないだけ」「不安なだけ」が隠れているかもしれません。
大丈夫。
失敗を笑い合える余白が、そっとそばにあれば、
子どもはきっと、また描き出します。
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