お絵かきもデジタル。ぱっと消せる時代だからこそ、“考える力”をそっと育てるヒント
ぱっと描けて、ぱっと消せる。
便利な時代だけど――「深く考える力」は?
デジタルツールに親しむ子どもたちは、描いた線も、書いた文字も、あっという間に「なかったこと」にできる環境にいます。
なぜ今の子は“考える前に消す”のか?その背景と実態
「間違えてもすぐやり直せる」「手軽にリセットできる」
これは現代の子どもたちが当たり前に持っている、とても便利な環境です。
特にデジタル端末では、指一本で“消す・戻す”が簡単にできますよね。
この機能は「失敗を恐れず挑戦できる」という意味で、大きなメリットがあります。実際、初めて絵を描いたり文字を書いたりする子にとっても、ハードルはぐんと下がります。
ですが、一方で、こんなふうに感じたことはありませんか?
「すぐ消せるから、あまり考えずに描き始めて、うまくいかなかったらまたすぐ消す」
「じっくり考えるより、“とりあえず描いてみてダメなら消す”が当たり前になっている」
そう、“すぐ消せる”という便利さの裏側で、「考え続ける」「工夫する」「粘る」時間が短くなっているのです。
失敗してもすぐやり直せる。
これはとてもありがたい機能ですし、「チャレンジしやすさ」という点では大きなメリットがあります。

でも一方で、
「考え続ける」ことや「工夫する」時間が、以前よりも減っている気がする…
そんなふうに感じたことはありませんか?

子ども時代の“ひっ算”に気づかされたこと
実は私自身、子どもの頃は「ひっ算の過程なんて、どうでもいい!」と思っていたタイプでした(笑)
でも問題が難しくなってくると、頭だけでは覚えていられなくて、
自然にメモや印を入れるようになっていったんです。
その「書きながら考える」ことが、最後まであきらめずに答えを出せた理由だったんだな…と、大人になって振り返って気づきました。
📝 「iPadで描くと黒ばっかり?」に親が気づいたら読む話
→ デジタル時代の「色」や「選択」にもつながる気づきがあります。
「見えない過程」は、実はとても大事なもの
デジタルの世界では、途中の消した線や迷った跡は残りません。
それは、見た目がきれいになる反面――
“どうやってそこにたどりついたか”が見えないということでもあります。
そしてそれは、
「考えるプロセスが飛ばされてしまう」ことにもつながりやすいんです。
じゃあ、どうすればいいの?
子どもが“考える力”を手放さないために親ができる3つのこと
「消せること」は悪いことではありません。
けれど、「すぐ消す」ことが習慣になると、考えながら取り組む力や、自分の工夫を信じてやってみる経験が減ってしまうのです。
では、大人にできることは何でしょうか?
● 親にできる3つのこと:
①「書きながら考える」環境をつくる
ノート、メモ、ホワイトボードなど、“あとが残る”場面を意識的に取り入れましょう。たとえば、宿題だけでなく、自由帳やアイディアノートなど、目的がなくてもOKです。

②「過程」に目を向けた声かけ
完成した作品だけを褒めるのではなく、「そのアイディア、どこから思いついたの?」「ここの工夫、面白いね」と、プロセスに注目する言葉をかけましょう。
③「迷った時間」を肯定する
「悩んでいた時間も、あなたの力になっているね」と伝えるだけで、子どもは“悩んでもいいんだ”と思えるようになります。
たとえば:
- 「どこがむずかしかった?」と声をかけてみる
- 「このあと、どうしようと思ってるの?」と“先の思考”を促してみる
- ときには紙に描いてみる・書いてみる経験をはさむ
- 「保存」や「記録」をすすめて、“自分のやったこと”をふり返れるようにする
大事なのは、「うまくできた」よりも、「どうやってそこに行ったか」を見つめてあげること。
たとえば、デジタルツールでも、
- 描き直したレイヤーをあえて残しておく
- 自動保存機能で途中経過を見返せるようにする
- iPadの画面録画をONにして、あとから自分の描いた流れを見てみる
みたいな工夫で、「考える軌跡」が残るようにすることもできます。
自分の考えを持てる子に育てるには?元教諭が伝えたい大切な視点
子どもは“ぱっと消える”世界で生きているからこそ…
ぱっと描けて、ぱっと消せる。
この便利さを享受しているのは、まさに今の子どもたちです。
だからこそ、その背後にある「思考のあと」や「迷った時間」を、
大人がそっとすくい上げてあげられたら――
「自分の思い」を持つことは、これからの時代を生きる子どもたちにとって、ますます重要になります。
けれど、考える過程が“見えづらい”時代に育つ子どもたちは、どうしても「答えを出す」ことばかりに意識が向いてしまいがちです。
私自身、教員時代にたくさんの子どもたちと関わってきて感じたのは、「自分の思いを表現できる子」は、失敗や遠回りを恐れず、考えることを楽しんでいたということ。
「こうじゃなきゃいけない」と思い込ませず、「あなたはどう思った?」と問いかける関わりが、子どもの“自分らしさ”や“思考力”を引き出す土台になります。
そうすることで、子どもは「深く考える」ことの価値に、自分で気づいていけるかもしれません。
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