「うちの子、最近”火事の絵”をよく描くんです」「包丁を持った人の絵を描いていて、ちょっと怖くなってしまって……」そんな経験はありませんか?
一見ショッキングなモチーフですが、それだけで「何か問題がある」と決めつけるのは早すぎます。火や刃物の絵には、成長のサインが隠れていることもあります。元教諭の視点から、子どもの心の中で何が起きているのかをやさしく紐解きます。
この記事でわかること:
- 「火・火事の絵」を描く心理的な理由
- 「包丁・ナイフの絵」を描く心理的な理由
- 心配しなくていいサインと、注意して見たいサインの見極め方
- 「描いたあと」を大切にする関わり方
- 専門家への相談を検討していいタイミング
「この絵、大丈夫かな?」と思ったら
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「火・火事の絵」を描く理由——生命力と感情発散のサイン
火の絵は、心理学的に「生命力・情熱・変化の象徴」といわれます。子どもが火を描くのは、「燃える」「光る」「変わる」という現象に心を惹かれているから。大人が思う「危険なもの」という認識とは、まったく別のところに子どもの関心があります。

「安心・あこがれ」の火と「感情発散」の火
花火を見たあとに赤やオレンジで「火」を描く、暖炉や焚き火など”あたたかい火”を描く——こうした場合は安心やあこがれの気持ちが反映されています。子どもにとって火は「きれい」「すごい」という感動のモチーフでもあるのです。
一方で、家が燃えている・人や物が炎に包まれているというように、激しい火が何度も出てくる場合には、強い感情(怒り・不安・恐怖)を外に出すための表現であることがあります。火は「コントロールできない力」への関心でもあり、成長の途中で「自分の中のエネルギーをどう扱うか」を試している時期のサインかもしれません。
描いた後のお子さんの様子を見るのが一番の判断材料
描き終えた後にスッキリしていれば、感情のデトックスがうまくいっているサインです。ぐったりしている・暗い表情が続くなら、少し注意して様子を見てあげてください。
「包丁・ナイフの絵」を描く理由——自我の発達と身近な道具への関心
包丁やナイフといった”切るもの”を描くと、親としてはドキッとしますよね。でも心理的には「切る=分ける」「境界を作る」という意味があります。

自我の発達を象徴する描き方
発達心理学でいう”自己と他者の区別”が芽生える時期に、刃物を描くことがあります。「ママとぼくは別の人間なんだ」「好き・嫌いをはっきりさせたい」といった、自我の発達を象徴する描き方です。
包丁は「家庭で身近に見かける道具」でもある
料理を手伝いたい、ママの真似をしたいという思いが背景にあることも多いです。「ニュースで見た」「アニメの影響」「料理のマネ」——意外と現実的な答えが返ってくることがほとんどです。絵は”現実”と”空想”が混ざる場であり、「見た」「感じた」「考えた」ことを子どもなりに組み合わせて表現しています。
注意して見たいのは「繰り返し+表情が暗い」ケース
何度も人を傷つける絵を描く、表情が暗く強い恐怖や怒りを伴っているといった場合は、心の中に整理しきれない感情があるサインかもしれません。そのときは叱らずに「どうしてこの絵を描いたの?」と穏やかに聞き取る姿勢が大切です。
見守っていいサインと、注意して見たいサインの見極め方
心理学的に見ると、「見守り」と「相談」の判断はこのポイントで分けられます。
心配しなくていいサイン
以下が当てはまれば「感情の整理・想像力の発達」として見守ってOKです。
- 絵のテーマが毎回違う
- 絵を描くと気持ちが落ち着いている(スッキリしている)
- 日常の会話や遊びで笑顔がある
- 「ママ見て!」と自信をもって見せてくれる
注意して見ていきたいサイン
絵以外の変化が重なるときは、生活全体を振り返るきっかけにしてみましょう。
- 同じモチーフ(火事・けが・戦いなど)が何週間も繰り返される
- 表情が暗く、人物が孤立して描かれることが続く
- 絵に「怖い」「怒り」「悲しみ」が強く固定されている
- 登園しぶり・睡眠や食欲の変化など、生活面での変化がある
「怖い絵を描いた=異常」ではありません。むしろ「絵として出せた」ことは、心が外に向かって動いている証拠です。
親ができること|「怖い絵」を前にしたときの向き合い方
「描いた」という行為そのものをまず受け止めること——それが最初の一歩です。絵を描くことは自己表現であり、感情の排出(カタルシス)でもあります。「描く」ことによって、子どもは自分の心を整理しているのです。
すぐに否定せず「受け止める」声かけを
- 「すごく力強い絵だね」
- 「どうしてこの色を使ったの?」
- 「ここは何をしている場面かな?」
内容の良し悪しではなく、描いた過程や気持ちに関心を向けることで、子どもは「わかってもらえた」と安心します。安心すると自然と次の会話が生まれ、その中で自分の気持ちを少しずつ言葉にできるようになります。
「背景」を探る——何を見て描いたのかを聞く
「どんな場面を思い出して描いたの?」とやさしく聞いてみましょう。「ニュースで見たの」「ママのお料理のマネ」など、意外と現実的な答えが返ってくることがよくあります。子どもは日常で見たり聞いたりしたことを絵に取り入れているだけのことがほとんどです。
「描いたあと」を大切にする
描き終えたあと「どんな気持ちになった?」と聞いてみましょう。「スッキリした」「もういいや」「また描きたい」など、その反応が子どもの心の回復過程を教えてくれます。ときには絵を見せながら遊びに発展することもあります。これは「感情の再体験と整理」を自然に行っているサイン。家庭の中でアートセラピー的な効果が生まれています。
やってはいけないNG対応
✗ 避けたい関わり方
- 「こわい絵ね」「そんなの描いちゃダメ」と否定する
- 「もっと明るい絵を描こうね」と無理に誘導する
- 問い詰めるように理由を聞き出そうとする
✔ 心が開く関わり方
- 「力強い絵だね」と事実を伝える
- 「どんな場面を描いたの?」と物語として聞く
- 描き終えた後の気持ちを聞く
よくある質問(Q&A)
Q:子どもが包丁の絵を描いたらどうしたらいい?
A:驚く必要はありません。包丁は家庭でよく見る道具なので、特に心配する必要はありません。「どうしてこの絵を描いたの?」と優しく聞いてみると「ママのお料理のマネ」など現実的な答えが返ってくることが多いです。
Q:火事の絵を何度も描くのは問題?
A:1〜2枚なら心配不要です。数週間にわたって繰り返し、かつ表情が暗い・生活にも変化が出ているという場合だけ、「最近何かあったかな?」と生活全体を振り返るきっかけにしてください。
Q:怖い絵を描いているとき、叱った方がいい?
A:叱る必要はありません。叱られると子どもは「自分の感じていることはいけないことなんだ」と思い込み、感情を心の奥に閉じ込めてしまいます。絵を描けているうちは、心がまだ外に向かって動いている証拠です。
Q:専門家に相談するタイミングは?
A:絵の内容が極端に攻撃的・悲観的で変わらない、学校や家庭での会話が減り表情が乏しい、絵を描くときに強い不安や泣きが見られる——これらが重なるときは早めにスクールカウンセラーや地域の子育て支援センターに相談してみてください。
Q:「もっと明るい絵を描こうね」と声をかけてもいい?
A:避けてほしい声かけです。心の中でまだ整理できていない感情があると、かえってプレッシャーになってしまいます。子どもは安心できたときに自然とテーマを変えていきます。「描きたいものを描ける環境」を用意しておくことが一番のサポートです。

- 好みの長さに調節できて折れにくい繰り出し式
- 弱い筆圧でもスムーズに描ける優れた発色
- 描いたあとにすぐ乾く、にじみ防止仕様
- 色が綺麗に重なり、表現の幅が広がる
✅ まとめ:「絵」は子どもからの小さな手紙
- 火・火事の絵は「生命力・情熱・変化への関心」のサイン。激しい火が繰り返されるときは感情発散の表れであることが多い
- 包丁・ナイフの絵は「自我の発達」や「身近な道具への関心」から描かれることがほとんど。叱らず穏やかに背景を聞いてみて
- 心配しなくていいサインは「テーマが毎回違う・描いた後スッキリ・日常は元気」。繰り返し+生活の変化が重なるときだけ立ち止まる
- 「描いた」という行為そのものを受け止めること。すぐに否定すると感情の出口が塞がれてしまう
- 描いた後の「どんな気持ちになった?」という問いかけが、心の回復過程を教えてくれる
- 絵は心の鏡であり、会話のきっかけ。やさしく受け止めるまなざしが、子どもの心にいちばんの安心を届けてくれます
「この子の中に、どんな気持ちがあるんだろう」と想像してみてください。そのまなざしが、子どもの心にいちばんの安心を届けてくれます。


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正解を探すより、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まる時間を。
※唯一の正解はありません。その子に合うかどうかを、一緒に考えませんか。
いっちー
元小学校教員(15年)
ベビー&キッズ専門フォトグラファー
小学校で15年、子どもたちの育ちを間近で見てきました。その経験から、ベビー&キッズ専門フォトグラファーへ転身。
レンズを通して感じる毎日——
かわいい。謎い。純粋すぎる。
「うちの子、大丈夫かな」という不安がそっとほぐれるような記事を書いています。
この場所で書いていること
・ 子育てあるある
・ 毎日の小さな楽しみを見つけるヒント
・ 絵や行動から読み取る子どもの心


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