「子どもの絵には心の闇が映る」
「危険なサインを見逃すと大変なことになる」
ネットや本でそんな言葉を見かけて、ドキッとしたことはありませんか?
この記事の内容
検索窓に「危険」と打ち込んだ、あなたのその手に伝えたいこと

わが子が描いた、ちょっと不気味な絵。 いつもと違う、どろどろとした色使い。
それを見た瞬間、心臓がキュッと縮まるような感覚。
「もしかして、うちの子、心に深い傷を負っているの?」
「私が気づいていないだけで、何か恐ろしいことが起きている?」
そんな不安に突き動かされて、誰にも相談できず、一人で検索窓に「子どもの絵 危険」と打ち込んだ……。今、この記事を読んでくださっているあなたは、そんな風にたった一人で戦っている最中かもしれませんね。
まず、最初にお伝えさせてください。
検索してまで「わが子の心を知りたい」と願うあなたは、すでにお子さんの心に寄り添おうとしている、世界で一番優しい味方です。
世の中には「子どもの絵の危険信号」を煽るような情報も溢れています。でも、絵はそんなに単純なものではありません。この記事は、あなたを怖がらせるためのものではなく、「安心して見守るための地図」として書きました。
「危険」という言葉の裏側にある、本当の子どもの姿を一緒に見ていきましょう。
まず大前提|子どもの絵で「心理状態」を断定することはできません
まず、心に深く刻んでおいてほしいことがあります。それは、「絵1枚で、子どもの心のすべてを診断することは、専門家でも不可能である」ということです。
ネットに多い「危険サイン一覧」の落とし穴
ネットを検索すると、
- 「家を描かないのは家庭に不満がある」
- 「特定のパーツを塗りつぶすのは虐待のサイン」
- 「人物を小さく描くのは自己肯定感の低さ」 ……なんていう、断定的なフレーズが出てくることがあります。
これらを見て、「うちの子、家を描いてない! どうしよう!」とパニックになる必要はありません。こうした一覧は、あくまで統計や特定のケースを切り取ったもの。それを目の前のわが子に無理やり当てはめるのは、親御さんにとっても、そしてお子さんにとっても、一番苦しいパターンになってしまいます。
絵は「結果」ではなく「途中経過」
子どもの絵は、固定された「答え」ではありません。

- その日の気分: たまたま見たテレビが怖かった。
- たまたま: 使える色がそれしかなかった。
- 遊びの延長: ぐちゃぐちゃに塗る「音」や「感触」が楽しかった。
子どもの絵は、いわば「心の実況中継」です。中継ですから、雨の日もあれば嵐の日もある。でも、次の瞬間にはケロッと晴れるのが子どもです。たった数分の実況を見て、その子の人格すべてを決めつける必要は、まったくないんですよ。
🖍️ 子どもの「描きたい」を止めないために
黒を強く塗ったり、赤を何度も重ねたり。
少しドキッとする絵を描くとき、
子どもは今の気持ちを必死に外に出そうとしています。
だからこそ、
「汚れるから」「あとで大変だから」と止めるのではなく、
思いきり描いていい環境を用意できると、
子どもの安心感は大きく変わります。
これは「上手に描くため」ではなく、
「どんな気持ちも、ここでは出していい」
そう伝えるための道具です。
それでも知っておきたい|“見逃さないほうがいい”変化とは
「絵1枚では判断できない」とはいえ、親として「これは少し注意深く見てあげようかな」というポイントがあるのも事実です。それは「形」や「色」そのものではなく、「変化の質」にあります。

① 絵の内容が“急に”大きく変わった
これまでニコニコの家族ばかり描いていた子が、ある日を境に「急に」刃物や戦いの場面、あるいは画面全体を塗りつぶすような絵を「描き続ける」ようになった場合。 大切なのは「急に変わったこと」そのものです。何か大きな環境の変化や、言葉にできないモヤモヤを絵で発散しようとしている可能性があります。
② 同じモチーフ・同じ場面ばかりが続く
「固定化」も一つのヒントです。 何ヶ月も、何枚描いても、全く同じ、少し不気味なモチーフや、動きのない静止画のような絵が続くとき。 子どもは本来、日々アップデートされていく生き物です。そのアップデートが止まっているように感じたら、「今、何かで頭がいっぱいなのかな?」と立ち止まってあげるきっかけになります。

③ 絵を描くときの様子が違う
絵そのものよりも、「描いている時の子どもの空気」に注目してください。
- 極端に無言で、必死に紙に叩きつけるように描いている。
- 描いている最中にイライラして紙を破る。
- 描き終わった後、スッキリするどころか、ぐったりと疲れ果てている。
ポイントは「単発ではなく、2週間〜1ヶ月以上続いているか」です。一度や二度なら、単なるブームや疲れですので、安心してくださいね。
よく誤解されがちな「危険そうに見える絵」
親が「ヒッ!」となる絵でも、実は全然心配ないケースがほとんどです。代表的なものをご紹介します。
暗い色・黒ばかりの絵
「真っ黒=闇、病み」と結びつけられがちですが、多くの子どもにとって黒は「強さ」と「コントラスト」の象徴です。はっきり描けるから好き、かっこいいから好き。ただそれだけの理由が9割です。
🔗子どもの絵に出る「色の心理」|赤・青・黒…どんな気持ち?
怖い絵・戦いの絵

モンスター、武器、血を連想させるような赤……。 これらは、多くの場合「想像力の発散」です。大好きなゲームやアニメの影響、あるいは「強い自分」になりたいという変身願望の表れ。絵の中で発散できているなら、現実ではむしろ穏やかに過ごせている、なんてこともよくあります。
人が小さい/顔がない絵

「自信がないの?」と心配になりますが、これは単純に「まだ身体のバランスが取れない」「顔を描くのが難しい(面倒くさい)」という発達段階の問題であることが多いです。
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元教諭の視点|本当に見るべきは「絵」よりここ
教諭時代、たくさんの絵と子どもたちを見てきて感じたのは、「絵は答えではなく、問いかけである」ということです。絵だけで解決しようとせず、以下の3つの視点をセットにしてみてください。
絵とセットで見る3つの視点
- 日常の様子: ご飯を食べているか、夜はぐっすり眠れているか。
- 会話の変化: 目を合わせて話せるか、学校や園での出来事を(彼らなりに)話すか。
- 遊び方の変化: これまで好きだった遊びに興味を示しているか。
絵が教えてくれるのは「きっかけ」
もし絵が気になったら、それを「診断の証拠」にするのではなく、「話しかけるきっかけ」にしてください。 「最近、この赤い色をよく使っているね。なんだかパワフルだね! 最近、幼稚園はどう?」 そんな風に、絵を入り口にして、今のお子さんの「生活」に光を当ててあげる。それが一番の見逃さないコツです。
こんなときは、一人で抱え込まなくていい
それでも、「やっぱりどうしても不安」「絵を見るたびに私が泣きそうになる」という時は、無理に一人で納得しようとしなくて大丈夫です。
相談を考えてもいい目安
- 絵+生活の変化が重なっている: 絵が暗くなり、かつ食欲がなくなり、夜泣きが増えた、など。
- 親がずっと苦しい: 絵を見るのが怖くて、子どもと一緒にいるのがしんどくなってしまった。
- 子ども自身がしんどそう: 何を描いても「自分はダメだ」「うまく描けない」と泣き出す。
相談=大げさ、ではない
「こんなことで相談していいのかな?」なんて思わないでください。園の先生、スクールカウンセラー、市区町村の子育て相談窓口。 早めに「ちょっとこの絵が気になっていて……」と話すことは、「大火事になる前にボヤを見つけた」ようなもの。早く話すほど、親御さんの心も軽くなります。 相談できる親御さんは、お子さんの変化を一番に守ろうとしている「最高の親」ですよ。
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親の関わり方|“見抜こう”としなくていい
最後に、今日からできるお絵描きとの向き合い方をお伝えします。パパやママが「名探偵」になる必要はありません。
やりがちなNG
- 「これ、誰を殺してるの?」と問い詰める: 恐怖心を与えてしまいます。
- 「暗い色は使っちゃダメ」と禁止する: 感情の出口を塞いでしまいます。
- 「この絵は○○という心理だ」と決めつける: 子どもの本音を奪ってしまいます。
おすすめの関わり
- 「この絵、どんなお話があるの?」と聞く: 主役は子どもです。
- 「たくさん描きたかったんだね」と認める: 行為そのものを肯定します。
- ただ隣で一緒に見る: 言葉はいりません。「見てるよ、大好きだよ」という空気を届けるだけでいいんです。
安心は、親から先に
あなたが不安そうな顔で絵を覗き込むと、子どもは「あ、これ描いちゃいけないんだ」と察してしまいます。 まずは、あなたが「まあ、こんな日もあるか!」「今日はダイナミックだね!」と深呼吸。 親が落ち着いていることが、子どもにとっての最大の安全基地(セーフティネット)になります。
✅ よくある質問(Q&A)
Q:「黒い絵ばかり描くのは問題?」
A:子どもの感情や興味の現れです。焦らず観察し、必要に応じて安心感を伝えましょう。
Q:「家族を描かないときはどう受け止めればいい?」
A:心理的な距離や関心の変化のサインです。無理に描かせず、安心の声かけを意識しましょう。
Q:「同じ色ばかり選ぶのは問題?」
A:赤ばかり、青ばかりなど、好みや気分の表れです。色を変えることを強制せず、自由に表現させましょう。
Q:「絵の順番が日によって変わる意味は?」
A:その日の気分や関心の変化が表れています。順番に意味を持たせようとせず、自由に描かせるのが安心です。
Q:「怒った顔や泣き顔を描くときの声かけは?」
A:感情に寄り添う言葉が大切です。「そうだね、悲しいよね」「今の気持ちを絵で出してくれてありがとう」など。
🔗【詳しく読む】黒い絵を描くときの心理と見守り方
🔗【関連記事】家族の絵にあらわれる心の距離感
まとめ:子どもの絵は「危険探知機」ではない
いかがでしたか? 「危険な心理状態」という言葉に驚いて検索した方も、少しだけ、目の前のお子さんの絵が違って見えてきたのではないでしょうか。
子どもの絵は、決してあなたを脅かす「危険探知機」ではありません。
それは、「ママ、パパ、僕(私)の心は今、こんなに動いているよ!」という、不器用なメッセージ。
変な絵を描いても、怖い絵を描いても、それは「表現できている」という素晴らしいことです。 一番大事なのは、不安になりすぎず、でも「いつもと違うな」と感じる自分の直感は大切にしながら、ゆっくりと伴走してあげること。
「この絵、大丈夫かな?」と立ち止まって、この記事を最後まで読んでくれたあなたは、もう十分、お子さんの心に寄り添っています。🔗なぜ子どもはお母さんを大きく描くの?
その優しさが、お子さんにとっては何よりの「心の特効薬」です。 明日も、その不思議でユニークな「実況中継」を、ぜひ特等席で眺めてあげてくださいね。
次に読んでほしい内部リンク 「黒い色がやっぱり気になる……」という方へ。
👉 【色彩心理】子どもが黒ばかり使うのはストレス?元教諭が教える「色の意味」の本当のところ
いかがでしたか? 「こんな絵を描いていて不安なんです」という具体的なお悩みがあれば、いつでもコメントで教えてくださいね。一人で抱え込まず、一緒にわが子の世界を面白がっていきましょう!
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【あわせて読みたい】
▶ うちの子が絵を描かないとき|「描かない」も立派な表現
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ホーム » 子どもの絵でわかる「見逃したくない心理状態」とは?不安になりすぎないための見方
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このブログでは、子育て中のちょっとした悩みや工夫、
子どもの行動の心理をわかりやすく紹介しています。
ときには心理診断コンテンツで気分転換も♪
育児を「ちょっと気ラクに、ちょっと楽しく」感じられるような記事を発信中です😊
この記事が「いいな」と思ったら、noteのフォローやYouTubeのチェックもお願いします!がぜんやる気になります!
正解を探すより、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まる時間を。
※唯一の正解はありません。その子に合うかどうかを、一緒に考えませんか。
\ 答えのない、子育ての迷いの中にいるあなたへ /
ブログでは「教育のヒント」を書いていますが、
実は私自身、毎日が迷いと後悔の連続です。
教科書通りの正解に傷ついたとき、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まって、
静かに自分と向き合える場所をnoteに作りました。
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いっちー
元教諭(15年+)&プロカメラマン。
わが子の発達グレーやきょうだい児の葛藤に、涙でティッシュの山を築きながら向き合っている現役の母です。
教育の現場を知っているからこそ、外側から「正解」を押しつけられることの息苦しさや、もどかしさを感じてきました。
キラキラした正解の中で、無理をして生きるのはしんどいですよね。
「こうすべき」の前に、「この子の場合はどうだろう?」と、一緒に立ち止まれる場所でありたいと思っています。
子どもの絵に宿るサインや、言葉にならない心の機微をそっと眺めて。
今日をなんとかやり過ごすための「余白」を、一緒に見つけにいきませんか。


