
~同じ絵ばかり描く子どもの“くり返し”に込められた想い~
「え、またそれ?」
「毎日毎日、同じキャラばっかり描いてるんです」
「他のも描いてみたら?って言っても、全然聞かなくて…」
そんなお悩み、実はとってもよく聞きます。
でも、ちょっと待ってくださいね。
それ、子どもにとっては“ただの飽きないクセ”ではなく、成長の途中にある“強みの種”かもしれないんです。
今回は、元教諭としてたくさんの子どもたちの“くり返し”を見てきた立場から、
同じものを何度も描く子がもっている力と、親としてどう関わるといいのか、
ゆったりお話していきます。
「くり返す」は、子どもにとって“安心”と“探究”の両方
子どもって、安心できるものをくり返す習性があります。
絵本でも、お気に入りの一冊を何十回と読んだり、
遊びでも、同じごっこを延々と続けたり…
「知ってる」「できる」「わかる」ことの中に、心地よさや安心があるんですね。
それは絵も同じ。
「またこのキャラを描こう」「この形、描けるようになった!」という
「できた」の実感があるからこそ、何度も描きたくなる。
そのくり返しの中で、じつは子どもはちゃんと“変化”も起こしてるんです。
深く考えるためには、「何度も同じことをくり返す時間」が必要
子どもが深く考える力を育てていくには、
「ひとつのことをくり返す時間」も、とても大切です。
たとえば、よくある親のつぶやき…
「え、またそれ描いてるの?」
「毎日毎日、同じキャラばっかり描いてるんです」
実は、これこそが“深く考えている”サインかもしれません。
同じキャラを何度も描く。その行動には、
・ポーズを変えてみる
・表情に気持ちを込めてみる
・色や形を工夫してみる
といった、小さな変化へのこだわりがぎゅっと詰まっていることも。
これって、まさに“思考のくり返し”なんです。
飽きずに深めるって、実はとってもすごいこと。
こうした「自分の中にある問いを、時間をかけて育てる」経験が、
やがて「自分の頭で考える」力につながっていきます。

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「深く考える時間」は、日常の“余白”から生まれる
でも実は、今の子どもたちにとって、
この「くり返しながら深める時間」そのものが、とっても貴重になってきています。
学校の宿題に、習い事。
そして、ユーチューブやゲームといった楽しいけれど“受け身”になりやすい時間。
どれも悪いことではないけれど、
昔のように「やることが決まっていない、ひまな時間」って、ぐっと減っています。
ランドセルを放り投げて「行ってきまーす!」と外に出て、
その日の気分で出会った友達と遊ぶ。
そんな“ノープランの時間”から生まれていた探究心や創造力が、
今は意識的に「作ってあげないと得られないもの」になってきているのかもしれません。
今って「ちょっと暇だな」って思った瞬間に、すぐに埋められちゃう。
YouTube、ゲーム、ショート動画…
楽しいし、悪いわけじゃないけど、
“退屈の余白”がなくなると、内側から湧いてくるアイデアとか、
集中してやり込む時間が育ちにくくなるんだよね。
昔は、「ひまー!」「やることなーい!」って言いながら、
いつの間にか何かを作ってたり、石を並べてたり、紙にぐるぐる描いてたり。
“暇の中で始まる創造”って、ほんとに尊い。
そしてその中に、「くり返し描く」「飽きるまで遊ぶ」「気が済むまでやる」っていう、
“自分の中の熱”を見つけるチャンスがたくさんあったんですよね。
親から見ると“変わってない”…でも、よく見ると?
たとえば、「毎日、ドラゴンばかり描いてる」という子。
親から見ると「昨日と同じじゃん」に見えるかもしれません。
でも、よく見てみると…
- 翼が大きくなっていたり
- 炎の色を変えてみたり
- ポーズが少し変わっていたり
- 表情に怒りや悲しみを込めてみたり
“同じに見える中にも、挑戦が隠れている”ことが、とても多いんです。
元教諭の目線から言わせてもらうと、
この「変わらないようで、少しずつ変えていく力」は、まさに探究心のあらわれ。
「飽きずに深める」って、すごいことなんです。
くり返し描く子の強みとは?
同じモチーフを描き続ける子には、こんな力が育ちやすい傾向があります:
- 集中力:ひとつのことにじっくり向き合える
- 観察力:細かい違いに気づき、修正できる
- 試行錯誤力:前よりよくしようと工夫する
- 自己表現のこだわり:自分なりの表現を見つけようとする
- 内なるモチベーション:誰かに言われたからじゃなく、自分が描きたいから描く
つまりこれ、将来の「職人」「研究者」「アーティスト」タイプに多い特性でもあるんです。
親としての“もやもや”も、すごくわかります
とはいえ、親としては…
- 他の子と比べて心配になったり
- 成長してないように見えたり
- レパートリーを増やした方がいいんじゃ?と気になったり
そういう気持ちが湧くのも、自然なこと。
「せっかくなら、いろいろ描けた方が伸びるのでは?」と思ってしまいますよね。
でも大丈夫。
今は“深く掘る時期”なだけかもしれません。
広げる前に、まず“しっかり根っこを張っている”と思って見守ってみてください。
無理に変えさせなくていい。でも“余白”は作ってあげよう
「またそれ描いてるの?」「そろそろ別のも描いたら?」
つい言いたくなるときもあるかもしれませんが…
その“描きたい気持ち”を大切にしてあげることで、子どもはもっと自由に伸びていきます。
とはいえ、親がちょっと工夫して“広がりのきっかけ”を用意するのはアリ◎
たとえば…
- 「そのキャラの住んでる世界も描いてみる?」
- 「横にもう1匹仲間がいたら、どんなのかな?」
- 「この前描いたのと見比べてみよう!」
こんなふうに、強みを否定せずに“ちょっと広げる提案”をすると、自然と展開していくこともあります。
最後に:何度も描くのは、きっと“好き”の証
何度も同じものを描くって、それだけその子にとって「大切」だということ。
そして、「今の自分をちゃんと出せている」という証拠でもあります。
“くり返し”を続けられるって、すごいこと。
「この子、なんだかずっと同じもの描いてるなぁ」と思ったら、
どうかその粘りとこだわりに、ちいさな拍手を送ってあげてください。
あなたのそのまなざしが、
きっと次の一歩の背中を、そっと押してくれるはずです。
今夜もまた、描きなれたモチーフに向かって
ちいさな画家がこつこつ手を動かしていたら…
「またそれ?」ではなく「今日も描いてるね」と声をかけてみてください。
子どもの「くり返し」の中にある、成長と“好き”の芽が、
きっとまたひとつ、ぐっと伸びるはずです。
すっきりほっこり、あたたかい気持ちで、おやすみなさい。
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