絵の具が、じわっと広がったとき。
線が、少しだけはみ出したとき。
子どもは、泣きません。怒りません。
ただ、ふっと手を止めて、こちらを見ます。
「……大丈夫?」
その目は、失敗を怖がっているというよりも、
“このまま続けていいかどうか”を確かめている目です。
にじみやはみ出しは、子どもにとって
「やらかした!」という大事件ではありません。
でも、
- これって直すべき?
- 消したほうがいい?
- それとも、このまま描いていい?
その判断を、まだ自分で決めきれない。
だから、一瞬止まるのです。
この記事の内容
にじんだ瞬間、子どもの心で起きていること

この“止まる一瞬”は、
子どもの中でこんなことが起きています。
- 正解かどうかを探している
- 大人の反応を待っている
- 次にどうするか、判断を保留している
怖くて固まっている、というよりも、
「様子見」に近い状態です。
とくに、
- きれいに描こうとがんばっている子
- デジタルでのお絵描きに慣れている子
ほど、この一瞬が生まれやすい。
なぜなら、
デジタルの世界では
- にじまない
- はみ出さない
- やり直せる
「予測できる」「戻せる」体験が当たり前だからです。
紙のにじみは、
その予測が外れた最初の瞬間。
だからこそ、手が止まります。
にじみは「失敗」ではなく、判断の分かれ道

大人から見ると、
「ちょっとにじんだだけ」
「たいしたことない」
と思うかもしれません。
でも子どもにとっては、
- このまま続ける
- 直そうとする
- やめる
いくつかの選択肢が一気に現れる、
分かれ道のような瞬間です。
このとき、
子どもはまだ
「にじみ=おもしろい」
「はみ出し=アリ」
という価値観を、
自分の中に持っていません。
だから、
その判断を親の反応に委ねるのです。
その一言で、続きを描けるかが決まる

🔗子どもの絵を見たとき、親はどう関わればいい?|心を閉ざさない声かけ・距離感ガイド
にじんだ瞬間、
親がどう反応するか。
実はここで、
その後の展開がほぼ決まります。
つい言いがちな言葉
- 「あー、にじんじゃったね」
- 「水つけすぎたかな?」
- 「失敗しちゃった?」
責めているつもりはなくても、
子どもはこう受け取ります。
「これは、よくないことだったんだ」
続ける“許可”になる言葉
- 「広がったね」
- 「色、動いたね」
- 「ここからどうなると思う?」
評価でも、修正でもなく、
起きたことをそのまま言葉にするだけ。
それだけで、
子どもはもう一度、筆を動かし始めます。
にじませる遊びが向いている子

にじみ遊びは、
特別な才能がある子のためのものではありません。
むしろ、こんな子ほど向いています。
- 失敗を気にしやすい
- きれいに描こうとしすぎる
- 「これで合ってる?」とよく聞く
にじみは、
うまくやろうとしても、うまくいかない現象です。
だから、最初から
「正解を目指す」モードが外れます。
描ける・描けないよりも先に、
「どうなった?」
「次、どうする?」
というやり取りが生まれる。
それが、にじみ遊びの一番の価値です。
元教諭として感じていたこと

教室でも、
にじんだ瞬間に止まる子はたくさんいました。
でも、
- 「いいね」
- 「おもしろいね」
- 「続き、見たいな」
そんな一言があると、
子どもは必ず続きを描きます。
逆に、
- 「直そうか」
- 「こうしたら?」
とすぐに介入すると、
その子の手は、もう一度止まってしまう。
にじみは、
教える場面ではなく、待つ場面だと感じていました。
🎨 にじみ遊びの具体例(年齢別)

1〜2歳|「にじんだ!」を感じるだけで十分
- 水で濡らした紙に、クレヨンや水性ペンで線を引く
- 色が広がる様子を一緒に眺めるだけ
この時期は、作品の完成度よりも「変わった」「動いた」という感覚体験が中心です。にじんだ瞬間に言葉を足すなら、「広がったね」「動いてるみたいだね」と事実をそのまま伝えるだけで十分です。
3〜4歳|にじみ=失敗?と感じ始める時期
- 霧吹きで軽く水をかけて、色の変化を楽しむ
- にじませたあとに、上から描き足してみる
この頃から「思ってたのと違う」「失敗かも」という感情が芽生えます。にじんだ瞬間に固まったら、「どうする?」と選択を返すことで、自分で考える余白を守れます。
5〜6歳|にじみを“表現”として使えるように
- 背景だけをにじませてから、形を描く
- わざとにじませる・にじませないを選ぶ
年長頃になると、にじみはコントロールできる要素になります。「さっきより少し水少なめにしたね」など、工夫に目を向けた声かけが、自信につながります。
おわりに|にじみは、子どもが立ち止まるサイン

にじみやはみ出しは、
子どもにとって
「失敗」でも「問題」でもありません。
それは、
「このまま進んでいい?」と確かめるサイン。
その一瞬に、
- 大丈夫だよ
- 続けていいよ
という空気が伝われば、
子どもは安心して、また描き始めます。
きれいじゃなくてもいい。
思い通りじゃなくてもいい。
にじみは、
子どもが自分で決める力を育てる
小さな入り口なのかもしれません。
🔗 紙とタブレット、どっちが正解?子どものデジタルアートで育つ力と親の正しい関わり方

🎨 はじめてのデジタルお絵描きに
「デジタルって難しそう…」と感じる方でも大丈夫。
指やペンで直感的に描けて、消せる・汚れない・片づけがラクなのが魅力です。
※ 続くか分からない時期こそ、気軽に試せる選択がおすすめです
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いっちー
元教諭(15年+)&プロカメラマン。
わが子の発達グレーやきょうだい児の葛藤に、涙でティッシュの山を築きながら向き合っている現役の母です。
教育の現場を知っているからこそ、外側から「正解」を押しつけられることの息苦しさや、もどかしさを感じてきました。
キラキラした正解の中で、無理をして生きるのはしんどいですよね。
「こうすべき」の前に、「この子の場合はどうだろう?」と、一緒に立ち止まれる場所でありたいと思っています。
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