お子さんがペンを握ったとき、あなたはどんな気持ちで見守っていますか?
「わあ、何を描くのかな?」
とワクワクする反面、
こんなモヤモヤを感じることはありませんか?
「せっかく高いクレヨンを買ったのに、一瞬で飽きてどこかへ行っちゃう」
「紙じゃないところに描こうとして、つい『ダメ!』と怒ってしまう」
「ぐちゃぐちゃにするだけで、全然『絵』にならない……この子、お絵描き向いてないのかな?」
色とりどりの画材を揃えて、準備万端!
……なのに、お子さんの反応がイマイチだったり、逆に親が片付けのストレスでヘトヘトになったり。
そんな経験、きっと一度や二度ではありませんよね。

子どものこんな行動を見て不安になったとき、
つい考えてしまうのはこんなこと。
- 心の問題?
- 発達の遅れ?
- 何か声をかけたほうがいい?
そんなあなたに、まず一番にお伝えしたいことがあります。
「お絵描きが続かないこと」や「きれいに描けないこと」は、決して才能がないわけでも、向いていないわけでもありません。

いちばん最初に見直してほしいのは、
画材と、描いている環境
です。
関わり方を変えるよりも前に、
大人がそっと整えられる場所があります。
お子さんの「描きたい!」という心の芽をこれからどう育て、親がどんな気持ちで隣にいればいいのかを一緒に見ていきましょう。
ただその前に、
大人と子どもで「お絵描きの意味」がどれくらい違うのかを、少しだけ整理させてください。
この記事の内容
親が思う「お絵描きが好き」と、子どもの「描きたい」は違う
大人は「完成品」を求め、子どもは「感触」を楽しむ
大人が「お絵描きが好き」と聞くと、机に座って、色を使い分け、何か具体的な形(りんごや車など)を完成させる姿を想像しがちです。つまり、「作品」を期待してしまうのですね。
でも、小さなお子さんにとっての「描く」は、もっと原始的で、もっとダイレクトな快感です。
- ペンを動かしたら、跡がついた!(発見)
- クレヨンが紙をこする感触が面白い!(触覚)
- 手が汚れた! 色が混ざった!(実験)
お子さんにとっては、描く行為そのものが遊びであり、表現であり、実験なのです。

よくある「あるあるシーン」の裏側
- 紙に描かず、机や自分の手に描きたがる: これは「もっと広い世界に自分の跡を残したい!」という意欲や、肌で色を感じたいという感覚の探究です。
- 色を出すだけで満足する: ペンキャップを開け閉めしたり、色を並べたりするのは、画材という「道具」への興味。これも立派な表現への第一歩です。
- 途中で立ち歩く: 集中力が切れたのではなく、描いたことで満足して、次の冒険(遊び)に移っただけ。1歳や2歳なら、3分集中できれば拍手喝采ものなのです。

「どんな画材がいい?」の前に、知っておきたい大事な視点
「クレヨンがいいの? 色鉛筆がいいの?」と悩む前に、一つだけ心に留めておいてほしい軸があります。それは、画材選びは「上達のため」ではなく「失敗しても大丈夫だと思えるため」にあるということです。
「大事に使って」が壁になる
例えば、とても高価で繊細な画材を与えたとします。親は「高いんだから、折らないでね」「きれいに使ってね」と、無意識にプレッシャーをかけてしまいます。すると、お子さんは「間違えたら怒られるかな?」「汚しちゃダメなんだ」と萎縮してしまい、自由な表現ができなくなります。

画材を選ぶときは、「これなら、多少ぐちゃぐちゃにされても、壁にはみ出しても、笑って許せるな」と親が思えるものを選ぶ。これが、実はお子さんの才能を伸ばす一番の近道なのです。
子どもが「描きたくなる」画材の共通点
それでは、具体的にお子さんの「描きたい!」を引き出す画材にはどんな特徴があるのでしょうか。その「性質」に注目してみましょう。
共通点①:力を入れなくても「スッ」と色が出る
子どもの筆圧は、私たちが思うよりもずっと弱く、不安定です。 「描けた!」という手応えをダイレクトに感じるためには、ペン先が紙に触れた瞬間に鮮やかな色がつくことが重要です。
- おすすめの性質: 水性マーカーや、オイルを多く含む柔らかいクレヨン。 「描けた!」という成功体験の積み重ねが、「次もやりたい」という意欲に直結します。
共通点②:雑に扱っても「心が折れない」
投げる、叩く、踏む。1〜3歳のお子さんにとって、これらはすべて画材との「コミュニケーション」です。
- すぐにポキポキ折れてしまう細い色鉛筆
- 芯を出すのが難しい複雑な道具 これらは、お子さんの「やりたい!」という流れを止めてしまいます。折れにくい太めの画材や、万が一折れても「また削ればいいや」と親が思えるタフな道具が理想的です。
共通点③:正解がない(混ぜても、はみ出してもOK)
「この色を使いなさい」という正解がない画材。 色が混ざってもきれいな水彩絵の具や、重ね塗りが楽しい画材は、「失敗」という概念を消してくれます。「はみ出すのが楽しい!」「色が重なって不思議な色になった!」という驚きこそが、表現の原動力です。
画材を変える=期待をかける、ではない
よくある誤解があります。
いい画材を使う=
ちゃんと描いてほしい、上手に描いてほしい
そうではありません。
本来の目的は、
- 力が抜ける
- 思った通りに出る
- 試しても壊れない
安心して失敗できることです。
だから、
「何を描いたか」より
「どう描いていたか」を、
あとから思い出せる画材が向いています。
その場所は、「完成する前提」になっていませんか?
描きたがらない子の場合も同じです。
- 描いても描かなくてもいい
- 途中でやめてもいい
- 作品にしなくていい
この前提があるだけで、
画材に触れるまでの距離が縮まることがあります。

「描かせよう」としないことが、一番の環境作り
最後に、一番大切なことをお伝えします。 それは、「描かせよう」としないことです。
お絵描きは、育てるものではなく、お子さんの中から自然に育っていくものです。 描かない日があってもいい。 一筆描いて、すぐに電車遊びを始めてもいい。 画材を積み木にして遊んでもいい。
親の役割は、管理することでも上達させることでもなく、ただ「表現できる場」をそこに用意し、時々「面白いね」と笑いかけること。
他の子と比べる必要はありません。昨日より少しだけ長くペンを握った、昨日選ばなかった色を手に取った。そんな小さな変化を、あなただけが気づいて、心の中で拍手を送ってあげてください。
親がついやってしまう“描く気をしぼませる関わり”
一生懸命だからこそ、つい口を出したくなるのが親心。でも、こんな言葉には注意が必要です。
- 「こう描いたらもっと上手だよ」 → お子さんの「実験」を「授業」に変えてしまいます。
- 「それは色が違うんじゃない?」 → ピンクのゾウがいてもいい。お子さんの空想の世界を否定しないであげてください。
- 「もう終わり? せっかく準備したのに」 → お絵描きを「義務」に感じさせてしまいます。
これらの言葉が出てしまうのは、あなたがそれだけお子さんに期待し、応援している証拠です。だから自分を責めないでくださいね。 ただ、もし口から出そうになったら、「おっと、今は実験中だった」と一歩下がって眺めてみましょう。
絵を読む前に、ここだけ見てみてください
| 見るポイント | チェック内容 | 子どもに起きやすい変化 |
|---|---|---|
| ① 画材 失敗しにくいか |
・力を入れなくても描ける ・色がちゃんと出る ・思った通りに線が出る |
「うまく描けない」ストレスが減る 力や技術の問題だと思い込まなくてすむ |
| ② 場所 評価が入りにくいか |
・すぐ横で見られていない ・途中で声をかけられない ・完成を求められない |
“見られている前提”が外れ、 途中で止まっても大丈夫になる |
| ③ 前提 きれいに描く空気がないか |
・はみ出さないように ・ちゃんと塗ろうね ・せっかくなら上手に |
失敗できない空気が抜け、 言葉を足さなくても描きやすくなる |
次は「どんな画材が向いている?」という話へ
ここまでで、
- 画材選びの基準は、お子さんが「失敗しても大丈夫」と感じられること
- 力を入れなくてもスッと色が出るタフな道具、汚れてもサッと拭き取れる環境。子どもの「発見」を面白がる余裕を持ちたい
というお話をしてきました。
次は、
安心して試せる画材の考え方を、
もう少し具体的に整理していきます。
▶︎ じゃあどんな画材がいいの?(準備中)

まとめ
子どもの絵が気になったとき、
いちばん変えやすくて、
いちばん影響が大きいのが
画材と環境です。
- 雑でもいい。
- 途中でもいい。
- 真っ黒になってもいい。
今日、お子さんが描いたその「ぐちゃぐちゃ」は、世界に二つとない、今この瞬間の命の記録です。
画材を選ぼうとしてこの記事に辿り着いたあなたは、もうすでに、お子さんの感性を誰よりも大切にしようとしている素晴らしいパパ・ママです。
その優しさがあれば、お子さんは必ず、自分なりのやり方で「表現する喜び」を見つけていきます。
明日のお絵描きの時間が、あなたとお子さんにとって、もっと自由で、もっと笑える時間になりますように!
まずは、
描いてもいい空気を置くところからはじめてみましょう。
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正解を探すより、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まる時間を。
※唯一の正解はありません。その子に合うかどうかを、一緒に考えませんか。
\ 答えのない、子育ての迷いの中にいるあなたへ /
ブログでは「教育のヒント」を書いていますが、
実は私自身、毎日が迷いと後悔の連続です。
教科書通りの正解に傷ついたとき、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まって、
静かに自分と向き合える場所をnoteに作りました。
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いっちー
元教諭(15年+)&プロカメラマン。
わが子の発達グレーやきょうだい児の葛藤に、涙でティッシュの山を築きながら向き合っている現役の母です。
教育の現場を知っているからこそ、外側から「正解」を押しつけられることの息苦しさや、もどかしさを感じてきました。
キラキラした正解の中で、無理をして生きるのはしんどいですよね。
「こうすべき」の前に、「この子の場合はどうだろう?」と、一緒に立ち止まれる場所でありたいと思っています。
子どもの絵に宿るサインや、言葉にならない心の機微をそっと眺めて。
今日をなんとかやり過ごすための「余白」を、一緒に見つけにいきませんか。







