「宿題、ちゃんとやってるの?」
「ほら、手が止まってるよ。早くしちゃいなさい。」
「わあ、上手に描けてるね! すごい!」
この記事の内容
「よかれと思って」の声かけが、実はブレーキになっている?
「うちの子、全然集中力がなくて……」
「勉強中もすぐ気が散るし、お絵描きも長続きしないんです。」
そんなお悩みを持って、この記事に辿り着いた親御さんは多いのではないでしょうか。 子どもの将来を思えばこそ、集中して物事に取り組む力を育んであげたい。
だからこそ、そばで見守り、適宜アドバイスをし、励ましの声をかける。

でも、一生懸命にお子さんと向き合っている親御さんほど、実は「無意識に子どもの集中力を奪ってしまう声かけ」という落とし穴にハマっていることが少なくありません。
「ちゃんと見ているのに、なぜ?」
「励ましているのに、どうして逆効果なの?」
そんな風に自分を責めないでくださいね。それはあなたが、お子さんのことを誰よりも大切に思っているからこそ起きる「すれ違い」に過ぎません。
今日は、良かれと思ってやっているその声かけが、子どもの脳の中でどう響いているのか。そして、お子さんの「深い集中」を守るために、親が今日からできる少しだけ「楽な」関わり方について、元教諭の視点でお話しさせていただきます。
子どもが集中しているとき、親の目にはどう見えている?
まず、大人の思う「集中している姿」と、子どもの「本当の集中」のズレについて整理しましょう。
集中しているように見えない=集中していない、ではない

大人がイメージする集中は「ガリガリと鉛筆を動かしている」「キビキビ動いている」姿かもしれません。 でも、子どもが本当に深く考えているとき、その姿は一見すると「ぼーっとしている」ように見えます。
- 手が止まっている。
- 視線が宙をさまよっている。
- 消しゴムのカスをいじっている。 これ、実は頭の中ではフル回転でイメージを広げていたり、次に何をすべきか作戦を立てていたりする「もっとも尊い集中」の時間だったりするんです。
元教諭の視点:教室でよくあった「静かな集中」

学校の教室でも、ずっとノートに何も書かずに固まっている子がいました。一見すると「サボっている」ように見えますが、しばらくして声をかけようと近づくと、その子の瞳はキラキラと輝いていて、頭の中で物語を完成させていたりします。 「書いていない時間」にこそ、一番の知的な成長が起きている。 集中の形は、決して「動いている姿」だけではないのです。
集中力を奪いやすい「ついやってしまう声かけ」
親御さんの意図とは裏腹に、子どもの集中をプツンと切ってしまう「4つのNGフレーズ」を見ていきましょう。
① 「ちゃんとやってる?」
親の意図: 「見てるよ」「困ってない?」という見守りと確認。
子の受け取り方: 「監視」と「中断」。 せっかく自分の世界に入り込んでいたのに、この一言で意識が「自分」から「親の目」に引き戻されます。脳は「あ、チェックされてるんだ」と身構え、自由な思考が止まってしまいます。
② 「早くして」「まだ終わらないの?」
親の意図: 時間の感覚を身につけさせたい、次の予定に遅れないように。
子の受け取り方: 「焦り」と「強制」。 集中力は脳がリラックスして「フロー状態」にあるときに発揮されます。「早く」という言葉は脳を緊張させ、ミスを恐れる「守りのモード」に切り替えてしまいます。
③ 「違うでしょ」「それじゃダメ」
親の意図: 間違った方向に進まないように、正解を教えてあげたい。
子の受け取り方: 「否定」と「思考停止」。 子どもが試行錯誤している最中の「正解の提示」は、せっかくの探究心を奪います。「どうせ言われるなら、自分で考えなくていいや」という受動的な態度を作ってしまう原因にも。
④ 「すごいね!」「上手だね」の落とし穴
親の意図: 褒めて伸ばしたい、モチベーションを上げたい。
子の受け取り方: 「評価」への意識。 意外かもしれませんが、作業中の過度な褒め言葉も集中を途切れさせます。 「褒められた! 次も褒められるように描かなきゃ」と、意識が「描く楽しさ」から「親の反応」へと移ってしまうからです。
子どもが何かに没頭しているとき。
「今は声をかけない方がよかったかな…」と、後から気づくことがあります。
この 『モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック』 は、
叱らず・我慢せず、
子どもの集中をそっと守る言葉に変換するヒントが詰まった一冊です。
「集中している子どもの足を引っ張りたくない」
そう思ったとき、手元にあると気持ちが整います。
なぜ声かけで集中が切れるの?子どもの心理的な理由
なぜ、親の声がこれほどまでに強力な「邪魔」になってしまうのでしょうか。
集中しているときの脳の状態
深い集中に入っているとき、子どもは現実世界とは別の「思考の世界」に入り込んでいます。これを無理に呼び戻すのは、時速100キロで走っている車に急ブレーキをかけるようなものです。一度止まった車を再び加速させるには、膨大なエネルギーが必要になります。

「返事をしなきゃ」が生まれる瞬間
親から声をかけられると、子どもは無意識に「反応しなきゃ」「失礼にならないように返事しなきゃ」と考えます。 「思考(自分の世界)」から「対応(社会的な世界)」への強制的な切り替え。 これが、せっかく育っていた集中力の芽を摘み取ってしまうのです。
集中=安心している状態
子どもが何かに没頭できるのは、その場が安全で、誰からも攻撃されないと信じているからです。しかし、頻繁な声かけが入ると、その場が「評価される場」に変わります。無意識に緊張が入り、深い没頭ができなくなってしまうのです。
「この声かけで合っているのかな」
「他の子と少し違う気がして、不安になることがある」
『発達が気になる&グレーゾーンの子供を伸ばす声かけノート』は、
子どもを変えようとする本ではなく、
親の関わり方を少しだけ調整するためのノートです。
特別なトレーニングよりも、
日常の何気ない一言を見直すことで、
子どもが安心して力を出せるようになる――
そんな視点がやさしくまとめられています。
それでも声をかけたくなる…親の気持ちも自然なこと
ここで少し、親御さんの心にも寄り添わせてください。
見守るって、意外と難しい
何もせず、ただ座っているわが子を黙って見ているのは、実はとてもエネルギーがいることです。「このまま放っておいて、ずっと終わらなかったら?」「何か一言アドバイスした方が、この子のプラスになるのでは?」という迷いは、あなたが真剣だからこそ生まれます。
親は「関わらない=サボっている」気がしてしまう
「教育的な関わりをしなきゃ」と頑張る親御さんほど、黙っている自分を「サボっている」ように感じて不安になります。 でも、事実は真逆です。「関わらない選択」は、お子さんの力を「信じている証拠」です。 それは、手出しをするよりもずっと勇気がいる、立派な育児なんですよ。
集中力を奪わない声かけ・見守り方のコツ
では、具体的にどうすればいいのか。今日から使える3つのコツです。
① 声をかけるなら「前」か「後」
- 始める前: 「これから30分、お母さんもお仕事するから、終わったら見せてね」という安心の土台作り。
- 終わった後: 子どもが「できた!」と顔を上げた瞬間に、「わあ、集中してたね」「ここ、工夫したんだね」と共感する。 作業中の「中」には、できるだけ入り込まないのが鉄則です。
② 声ではなく「環境」で支える
集中力を支えるのは言葉ではなく環境です。
- テレビの音を消す。
- 親も隣で読書や書き物をする(スマホではなく!)。
- お子さんの視界に、余計なおもちゃが入らないようにする。 親の「存在感」だけで見守るのがベストです。
③ どうしても気になるときの代替フレーズ
「ちゃんとやってる?」と言いたくなったら、「終わったら教えてね。ママ、楽しみにしてるよ」に変えてみましょう。 「早くして」と言いたくなったら、「時計の針がここに来るまでに応援してるね」と、事実だけを伝えて離れましょう。
年齢別|集中と声かけの考え方
未就学児の場合
集中時間は「年齢+1分」と言われるほど短いものです。5分集中できれば万々歳! 切れるのが当たり前という前提で、「集中が切れた瞬間に、親がガッカリした顔を見せない」ことが一番のポイントです。
小学生の場合
集中のスイッチは、本人の「内側」にしかありません。親が管理者(マネージャー)になろうとすると、子どもは依存するか反発します。親は「管理」ではなく、いつでも戻ってこれる「港」のような存在でいましょう。
今日からできる、親が少し楽になる考え方
最後に、親御さんの肩の力が抜ける考え方をお伝えします。

集中=結果ではなくプロセス
100点を取った、完成させた。それも大事ですが、一番価値があるのは「ああでもない、こうでもない」と迷い、考えていた時間そのものです。結果が伴わなくても、集中していた時間を肯定してあげてください。
「声をかけなかった時間」を誇っていい
「今日は一回も『早く』って言わずに見守れた!」 もしそう思える日があったら、自分をめちゃくちゃ褒めてあげてください。何もしなかったのは失敗ではなく、お子さんの成長を信じて「待てた」という、最高のプレゼントを贈ったということなのですから。
まとめ|見守ることは、最大の信頼です
いかがでしたか? 声かけがすべて悪いわけではありません。ただ、子どもには「今は誰にも邪魔されたくない、大切な時間」があります。
親が少し距離を取れた分だけ、子どもは自分の足で、より深く思考の海へ潜っていくことができます。

締めの一文: ここまでこの記事を読み、わが子のために悩んでいるあなたは、もう十分すぎるほどお子さんを想っている素晴らしい親御さんです。
明日は、少しだけ口を閉じて、お子さんの「静かな集中」を特等席で眺めてみませんか? きっと、今まで気づかなかったわが子の逞しい一面が見えてくるはずですよ。
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いかがでしたか? 「ついつい『早く!』って言っちゃいます……」というリアルな反省会エピソードがあれば、ぜひコメントで教えてくださいね。みんなで肩を組みながら、ゆるやかに「待てる親」を目指していきましょう!
ホーム » 子どもの集中力を奪っていませんか?ついやってしまう「声かけ」の注意点
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正解を探すより、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まる時間を。
※唯一の正解はありません。その子に合うかどうかを、一緒に考えませんか。
\ 答えのない、子育ての迷いの中にいるあなたへ /
ブログでは「教育のヒント」を書いていますが、
実は私自身、毎日が迷いと後悔の連続です。
教科書通りの正解に傷ついたとき、
「この子の場合はどうだろう?」と立ち止まって、
静かに自分と向き合える場所をnoteに作りました。
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いっちー
元教諭(15年+)&プロカメラマン。
わが子の発達グレーやきょうだい児の葛藤に、涙でティッシュの山を築きながら向き合っている現役の母です。
教育の現場を知っているからこそ、外側から「正解」を押しつけられることの息苦しさや、もどかしさを感じてきました。
キラキラした正解の中で、無理をして生きるのはしんどいですよね。
「こうすべき」の前に、「この子の場合はどうだろう?」と、一緒に立ち止まれる場所でありたいと思っています。
子どもの絵に宿るサインや、言葉にならない心の機微をそっと眺めて。
今日をなんとかやり過ごすための「余白」を、一緒に見つけにいきませんか。







