物語を使って共感する方法
~言葉にできない気持ちを一緒に解きほぐす~
子どもが「なんとなく嫌だ」「どうしても悲しい」など、気持ちを言葉で表現できないとき、親としてどう寄り添えばいいのか悩むことがありますよね。そんなとき、「物語の力」を活用するのはとても効果的です。
物語や絵本のキャラクターを通じて、子どもが自分の感情を少しずつ整理したり、安心感を得たりできることがあります。今回は、「物語を使って共感する方法」を紹介します。
物語で気持ちを共有する3つのステップ
1. 子どもの気持ちをそっと見守る
まずは、子どもの状態を観察しましょう。「今はどんな気持ちかな?」と直接聞くのではなく、そばにいて安心感を与えるだけで十分な場合もあります。焦らず、話すタイミングを待つことが大切です。
2. 気持ちに寄り添う物語を選ぶ
子どもが抱えている感情に近いテーマの物語を選んでみましょう。たとえば、以下のような状況に応じた絵本が役立ちます。
- 失敗して落ち込んでいるとき
「〇〇くんは失敗しても何度も挑戦して乗り越えたよ!」という物語は、子どもに前向きなヒントを与えます。 - 悲しい気持ちがあるとき
悲しみや孤独をテーマにした絵本を通じて、「ひとりじゃないよ」というメッセージを伝えられます。
3. 一緒に物語を楽しむ時間を作る
ただ読み聞かせをするのではなく、一緒に絵本をめくりながら感想を話したり、「この子はどう感じているのかな?」と想像する時間を共有してみましょう。親子の会話が自然に増え、子どもが自分の気持ちを少しずつ言葉にできるようになることがあります。
おすすめの絵本や物語例
1. 「ぼくのニセモノをつくるには」(ヨシタケシンスケ)
テーマ:自己表現の難しさ
主人公が「自分そっくりのニセモノ」を作ることで、自分が何を好きで何が嫌いなのかを考えていく物語。言葉でうまく伝えられない気持ちを、楽しく考えるきっかけに。
2. 「スイミー」(レオ・レオニ)
テーマ:困難に立ち向かう力
小さな魚が仲間と力を合わせて大きな敵に立ち向かうお話。怖い思いをしている子どもにも、勇気を与える一冊です。
3. 「ちいさなあなたへ」(アリスン・マギー)
テーマ:親の無償の愛
親が子どもに向ける愛情が詰まった物語。読み聞かせながら「どんなときもあなたを大切に思っているよ」という気持ちをそっと伝えられます。
なぜ物語が感情整理に効果的なのか?
子どもは、自分の感情をそのまま言葉で表現するのが難しいことがあります。しかし、物語を通じて似たような感情を経験するキャラクターを目にすると、自分の気持ちを「キャラクターに重ねて」感じられるようになります。
また、物語の中でキャラクターが困難を乗り越えたり、サポートを得たりする姿を見ると、子どもは次のような気づきを得ることができます。
- 自分の感情を肯定してもいいんだ。
- こんなふうにしてみると気持ちが楽になるかも。
- 親や周りの人に頼っていいんだ。
親が気をつけたいこと
- 押しつけない
「これを読んだら元気になるよ!」という押しつけは逆効果。あくまでも「一緒に楽しもう」というスタンスが大事です。 - 会話の主役は子どもに
物語を読み終えた後、「どう感じた?」と聞くよりも、「ここ面白かったね」と軽い話題から始めると、子どもが自分の言葉で感想を話しやすくなります。
親以外の人ができるサポート方法
- 絵本や物語のプレゼント
祖父母や親戚が子どもの興味に合いそうな絵本を贈るのは、とても良いサポートです。 - 読み聞かせの時間を作る
保育士や先生が「物語を一緒に読む」時間を作ることで、子どもが安心感を得られることもあります。 - 物語のキャラクターを話題にする
親しい大人が、絵本のキャラクターを話題にして子どもと会話を楽しむのも効果的です。
物語を通じて子どもの気持ちに寄り添う時間を作るのは、親にとっても負担がかかることかもしれません。でも、そんな時間はきっと宝物になります。
「言葉にならない気持ち」があっても、それを受け止めようとする親の姿勢は、子どもにとって何よりの安心感です。どうか無理をせず、あなた自身の「気分転換」も大切にしてくださいね。
親子で一緒に、物語の世界を楽しめますように!