
小さいころは、紙いっぱいに絵を描いていたのに……
気づいたら「もう描かない」「うまく描けないからイヤ」と言うようになった——
そんな変化に、ちょっぴり寂しさや不安を感じていませんか?
でもそれは、子どもの心が健やかに育っているサインかもしれません。 今回は、高学年で「絵を描かなくなる」理由と、親としてできるやさしい関わり方について、元教員としての経験と、たくさんの子どもたちの姿からお話しします。
「うまく描けないから描かない」のウラにあるもの
「絵、描かないの?」「せっかく上手なのに」—— そう声をかけたくなるときもあるかもしれません。
でも実は、高学年の子たちが絵から離れていく理由には、“うまく描けない”以上の気持ちが隠れています。
高学年になると、「自分がどう見られているか」を気にするようになります。 それまで“描きたい”が先に立っていた子どもも、「これって変かな?」「笑われないかな?」と、自分を出すことそのものにブレーキがかかってくるんですね。
絵を描く=“感情を出すこと”が難しくなる時期
絵は、言葉よりも正直に感情が出る表現です。
だからこそ、心が繊細になってくる思春期前の時期には、描くことが怖くなることがあります。
- 自分の絵に“気持ち”がにじんでしまうのが恥ずかしい
- 友達に見られて、笑われたらどうしよう
- 上手に描かなきゃいけない気がする
そんな風に感じたとき、子どもは「描かない」という選択をすることで、自分を守っているのかもしれません。

SNS時代の「うまい/へた」評価への敏感さ
今の子どもたちは、SNSを通して「誰かに見られる」ことにとても敏感です。
自分の絵と、SNSで見た“プロ並み”の作品を比べてしまう子もいます。 そして「こんなの、出せない」「こんな絵、意味ない」と感じてしまう……。
でも、それは決して「自己肯定感が低い」からではなく、社会の中で自分の居場所を見つけようとしている真剣なサインです。
親として気になるとき、どう関わる?
では、そんなとき親はどうしたらいいのでしょう?
正解は一つではありませんが、大切にしたいのは 「描いてほしい」ではなく「安心していてほしい」という気持ちでいること」です。
たとえば……
☑ 無理に「また描いたら?」とは言わない
☑ 「見せてくれて嬉しいな」と、描いたときの気持ちに寄り添う
☑ 自分が絵を描いて楽しむ姿を、そっと見せる
そんな風に、絵を描くことって、安心できることなんだという空気をつくっていくことが、ゆるやかで力強いサポートになります。
描かなくても“表現している”ことに気づく視点
「絵を描かない=表現していない」ではありません。
子どもは、
- 学校でのノートの書き方
- 選ぶ服や持ち物
- 友達との会話の中の言葉選び
そんな日常のなかでも、ちゃんと自分を表現しています。 “絵”じゃなくても、心はちゃんと外に向かって開こうとしているんです。
親としてそのサインに気づけると、「描かない」という事実に焦らなくなります。
🌈描かなくなった今も、「感性の芽」は育ちつづけている
高学年は、目に見える表現が一度おだやかになる時期。 でもそれは、内側に感性を育てている時間でもあります。
表に出さなくなったからこそ、
- 何を見てる?
- 何に心が動いてる?
- どんな表現なら、またしてみたくなる?
こんなふうに「今の興味や気持ち」に耳をすませることで、子ども自身も気づいていなかった“表現の芽”を見つけてあげることができます。
🍀ポテンシャルを伸ばす、親のあたたかいまなざし
「描かせよう」と思わなくても大丈夫。 今の子の好きなこと・夢中になっているものに寄り添いながら、 こんな関わりが、ゆるやかに表現力を支えてくれます:
- 「その話、もっと聞かせて」と、感じたことを言葉にする時間をつくる
- 一緒に“美しいもの”を味わう(絵だけじゃなく、音楽・自然・物語など)
- おうちの人が、ふと絵を描いてみる(「下手でも楽しそう」って伝わると◎)
子どもは、安心できる場所があると、また自然と表現したくなります。 それが絵になるか、言葉になるか、音楽やアイデアかは、わからないけれど——
「自分の内側から出てくるもの」を信じられること。
それがいちばんの「伸ばす」土台になります。
おわりに 〜描くもよし、描かなくてもよし〜
絵を描かない時期は、「成長の一場面」。 感性や表現が変化している証です。
それでも、ふとした拍子に 落書きや、文字の装飾、メモのすみに描かれたイラストなど、 “その子らしさ”は、きっとどこかに顔を出しています。
どうか焦らず、 そのままの今をまるごと受けとめて、 子どもの心の「表現の芽」を、あたたかく見守ってあげてくださいね。
📌子どもが絵を描かなくなっても、心のなかにはちゃんと「表現したい気持ち」があります。
それが絵になる日も、言葉になる日も、笑顔になる日もある。 その日を信じて、今日もおつかれさまです。
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